第二部 1978年
ソ連の長い手
首府ハバロフスク その2
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ツダムの陸軍総参謀本部が出来た際、議長直々に総司令官に任命されたほどの男
俄かに信じられなかった
「俺は、誰が議長になろうとも関係は無い。
国が消えてなくなる事の方が問題だ」
タバコを地面に捨てると、軍靴で踏みつぶす
「同志ハイム、退役将校作業部会に連絡を取れ」
1957年以降、社会主義統一党政治局の決定に基づき、旧国防軍軍人は退役を余儀なくされた
彼等は退役将校作業部会という親睦団体に集められる
党より危険視され、監視されていた
「緊急会合って事で、押し通せ。
俺の名前を出せば、国防軍時代の年寄り共がうまくやって呉れる」
旧国防軍軍人を通じてボンの西ドイツ参謀本部との連絡を取る事を匂わせる
呆然となるが、気を取り戻して返事をする
「はい、同志大将」
男は、彼の方を振り向く
「同志シュトラハヴィッツ、貴様はソ連との細い糸をつなぐようにし給え。
彼等の動向次第では、対応を変えねばなるまい」
シュトラハヴィッツ少将は、沈黙を破り、重たい口を開く
「同志大将、宜しいでしょうか。
今回の翻意の理由をお聞かせいただけませんか」
再び、タバコを取り出すと、静かに火を点ける
目を瞑り、紫煙を燻らせた後、述べた
「俺は、すでに貴様達のような情熱は無い……。
一介の軍人として国家の存亡が一大事だ。
党の政治方針や社会主義など些事にしか過ぎん」
彼は、男の方を見る
「その言葉を信じましょう、同志大将」
「時勢の流れに逆らう程、老いてはいぬ」
その言葉を受けて、二人は笑みを浮かべた
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