”炎”
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としたところで、さらにハルトの体が悲鳴を上げた。
力が抜け、そのまま倒れ込む彼を、可奈美が支えた。
「っ……! ごめん……!」
「ハルトさん、体……っ! 大丈夫!?」
「大丈夫……じゃないかな……?」
思えば、美炎の暴走、トレギアの邪魔。可奈美と煉獄がそれに奮闘している間、彼は一人でヤマタノオロチと戦っていた。
流石にもう限界だろう。
「大丈夫だよ。ハルトさん。後は、私と美炎ちゃんで戦うから」
「可奈美ちゃん……? ……分かった。後は、頼んだよ。この儀式は……もう、終わらせよう!」
「うん!」
可奈美は強く頷き、美炎の隣に並び立つ。
「美炎ちゃん……行ける?」
「うん。大丈夫」
美炎は涙を拭い、ヤマタノオロチを見上げる。
地上を目指す大荒魂は、咆哮を上げながら進撃を続ける。
大荒魂と対峙しながら、大荒魂の体となった美炎と肩を並べる。
「可奈美」
騒々しい音を立てているヤマタノオロチ。
だが、隣の美炎の声は、やけにはっきりと聞こえた。
「この戦いが終わったらさ……わたし、多分管理局に戻るよ」
「うん」
「でもさ、その前に……もう一回、立ち合い、やろう」
「美炎ちゃん……!」
「あ、これフラグとかそんなつもりじゃないからね? わたし、ちゃんとあのでっかいヘビをやっつけて、コヒメも取り戻して。そういう未来しか見てないから!」
美炎は、胸に手を当てた。
大荒魂としての彼女の姿が、あとどれくらいの時間保たれるかは分からない。
だが、美炎ははっきりと言い切る。
「煉獄さんが、命がけで助けてくれたんだ。だからわたしも、絶対に命をかけてでも、コヒメを助ける!」
「うん! 行くよ……! 美炎ちゃん!」
「うん!」
そして。
可奈美は、左手の鈴祓いを鳴らした。
チャリン。チャリン。
響く鈴の音。それに合わせて、どこからともなく和音が聞こえてくる。
それに合わせて、可奈美は動きを続ける。一拍。また一拍。リズミカルなタイミングを合わせて、ずっと舞い続ける。
やがて、鈴祓いは、それぞれの動きに合わせて金色の光を放ち始める。同じく金色の粒子がその内部より振り落とされ、可奈美の周囲へ蓄積していく。
やがて円形の光を作り上げたそれは、可奈美の体に集っていく。
そして。
「祭祀礼装・禊!」
白と金。二色の光が、鈴祓いより放たれた。
光は渦となり、地下を彩っていく。マグマさえも塗り潰す輝きのそれが、だんだん立体を持ち、可奈美の衣服となる。
和服をモチーフにした礼装。その下地は赤く、白い和装にはところどころに金色の注連縄が使われている。そしてその頭部には、金色の冠が付けられていた
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