第二部 1978年
ミンスクへ
青天の霹靂
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
1978年3月1日、未明
事態は動く
ソ連、セバストポリ軍港
同地との通信途絶との連絡が深夜2時、ハバロフスクの軍司令部に届く
即座に、近隣の軍管区から出せるだけの兵力を出して制圧に向かわせる
雷鳴のような音を轟かせ、艦砲が唸る
セバストポリ市内のBETA群に向けて、雨霰と砲撃が繰り返される
ロケット弾が地表すれすれに飛び交い、周囲を焼く
街は数里先からも赤く燃え広がっているのが見え、絶え間なく爆音が響く
市中を制圧した化け物共に、洋上に鎮座するモスクワ級航空巡洋艦や改造タンカーの艦載戦術機から爆撃を仕掛けるも失敗
市街に近寄るも、突如として現れた光線級に因る熾烈な対空砲火でほぼ全てが未帰還
6個大隊相当の戦術機と衛士が失われる結果に総参謀部は慌てた
12時間続いたBETAの攻勢は、洋上よりミサイル巡洋艦や潜水艦からセバストポリ市への核飽和攻撃で一時的な事態の終結へと向かった
一部始終を黒海洋上から米海軍の電子調査船は見ていた
暗号の掛かっていない膨大な通信量からソ連軍の混乱ぶりが判る
撃ち落される衛士の阿鼻叫喚や恨み言がレコーダーに記録され、通信員の耳に響く
艦内の電装表示を見る艦長が呟いた
「どういうことだ……」
3か月後に控えたパレオロゴス作戦の主力部隊を務めるソ連軍の敗退
幾らミンスクハイヴより千数百キロ離れた黒海とはいえ、既にあの禍々しいBETA共は侵食しつつある
望むならこのまま終わってほしい
彼の心からの願いでもあった
カシュガルハイヴが崩壊して周囲数千キロに化け物共が居ないのが幸いしたのか……
極東は非常に安定した情勢に戻りつつあった
数年来の天候不順と混乱で物不足に悩む欧州を横目に日本にも欧州の大企業の移転話が出始めていた
後方基地として些か遠いが、商機を逃さないようにとの考えから進んで各種戦術機の大規模メーカーや部材を作る機材が持ち込まれる
大陸で行われている対BETA戦は、宇宙開発競争で疲弊した帝国経済を立ち直らせる契機になり、極東の軍需や、欧州の軍備拡張を背景とする輸出で、生気を取り戻し、好景気を支えにした株式市場は沸いた
その様な矢先での、ソ連・ウクライナ地域の混乱
同日、帝都に近い大阪証券取引所では、主力株や軍需関連株を中心に売り物が殺到し、数年ぶりの本格的な株価大暴落に見舞われた
後にこの日の事を報道機関は、「漆黒の水曜日」と呼んだ
地獄絵図のような光景を潜入したCIA工作員がカメラに収める
ソ連風支
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ