暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
楽しい野球
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えた。
「私も怖いよ」
「え?」
「そりゃそうだ。負けたらそこでおしまいなんだから」
一発勝負の夏の大会。それは三年生にとって常にプレッシャーとの戦いである。その緊張感の中で力を出しきれたチームが勝ち抜いてこれるのだ。
「私たちは常に最善のプレーを心がける。でも、お前はそうじゃなくていいんだ」
「どういうことですか?」
期待されていないということかと思い眉間にシワが寄った莉愛を制する莉子。彼女はなぜそんなことを言ったのかを伝える。
「お前はうまいよ。そうじゃなければキャッチャーなんて重要な役割を任せることはできない。でも、この大会までの試合ではそんな顔はしたことなかったはずだ」
ボールを握りベースに付いている優愛目掛けて送球する。それは彼女の胸元への完璧な送球となった。
「アウト!!」
優愛はすぐさま一塁へとボールを送る。ファーストの葉月が脚を最大限に広げ最短で捕球してみせる。
「アウト!!」
「何っ!?」
俊足が売りの岡田のダブルプレー。これには彼女も翼星ベンチも驚きを隠せない。
「よーし!!」
その中で一際響き渡る声と共にガッツポーズをしている莉愛。その感情の爆発ぶりに莉子は笑みを浮かべていた。
『楽しそうにプレーしている時のお前が一番理想的だったよ』
先輩たちの最後の大会で負けられないといつの間にか気負っていた莉愛。それを見抜いた莉子の指摘により自分の本来の力を取り戻した彼女がチームのピンチを救った瞬間だった。
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