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レーヴァティン
第二百四十話 運河の街でその四

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「若くしてだったからな」
「陛下の世界ではですね」
「そうしたお歳で、ですね」
「そうなられていますね」
「ああ」
 六十やその辺りで亡くなってしまった、手塚治虫や石ノ森章太郎はそうした仕事ぶりで命を燃やし尽くしてしまったのだ。
「だから長生きしたいとな」
「よく寝る」
「それも大事ですね」
「そうなのですね」
「それもまた」
「ああ、結局人間動ける時間は限られてるんだ」
 寝ても起きてもというのだ。
「ずっと起きて働いても寝て働いてもな」
「早死にするか長生きするか」
「その違いはあれどですね」
「働ける時間は限られている」
「そうなのですね」
「俺はそう思うな」
 漫画界の巨匠達の人生を見てというのだ。
「作曲家でもそうだしな」
「モーツァルトですね」
「この世界では音楽の神ですが」
「陛下の起きられた世界では作曲家で」
「天才でしたね」
「ああ、子供の頃から作曲していてな」
 それこそ物心つく頃からだ。
「それで三十五歳まで不眠不休で作曲して膨大な作品数でもな」
「それでもですか」
「その仕事の量はですね」
「長生きした場合と変わらないですね」
「三十五歳で死んだとは思えない位多作だったよ」
 このこともこの作曲家の特徴だ、楽譜が見えていてそれを書いているだけだったと彼自身は言っていたという。
「しかしな」
「それでもですね」
「長生きした人とですね」
「仕事量は変わらないかも知れないのですね」
「結局な、だから寝てもな」
 それでもというのだ。
「いいんだよ、むしろな」
「長生きしたいならですね」
「よく寝る」
「そして普段の健康の為にも」
「そうすることですね」
「寝ることですね」
「ああ、俺も寝るしな」
 久志自身もというのだ。
「そういう風にな」
「兵達のその様に伝えます」
「そうしつつですね」
「今は英気を養い」
「そのうえで、ですね」
「動く時は動くな」     
 久志は暖衣し紅茶を飲みつつ話した、そして食事も摂ったが皿は一皿一皿順番に運ばれてきた。それで彼はここで料理人に言った。
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