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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
かくしてアイドル対決は、阻まれる(前編)
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としては死んでいる。モノとしては生々しい。
傀儡と化したかつて人間であったモノは、まるでゾンビのように両手を前に突き出し、フラフラとした足取りで歩き出した。

「葵ちゃんはどんなリアクションをするかな?怒るかな?泣いちゃうかな?もしかして笑っちゃう?」

目指すは、アイドル対決が行われている特設ステージ。
ステージを台無しにして面白くするという主の命を受け、彼らは歩き出す。



?


場所は戻り、ステージの裏方では待機しているエリザベートとそのマスター、プロデューサーのヘカPとソフィーがカメラで二人のステージを見ていた。

「へぇ、やるじゃない。」

観客のボルテージは更に上がり、熱狂に包まれている。
それを見てエリザベートは満更でもない表情で見つめている。

「ヘカP、と言ったかしら?」
「ええ。私が何か?」
「あの二人、最初は大したことなさそうな雑魚かと思ったけど、アタシに匹敵しうる強敵に育て上げるなんて、中々の手腕じゃない。」
「それ程でもないわよん。」
(へカーティアは何もしてないんだけどね…。)

自信満々に胸を張るヘカPにやや呆れるソフィー。
何かしたとすれば、土壇場での2人組のユニットの命名と、楽曲提供である。
強いて言うならば育て上げたのはソフィー、もとい幻想郷の住人達だ。

「それじゃあマスター。アタシ達も準備しましょう。」
「だね。」

次の曲が終われば自分達のステージ。
エリザベートはカメラに映るウィステリアの二人を一瞥し、マスターの手を引っ張って準備室へと向かっていった。

その時だった。

「…!!」

ソフィーが、何かを感じとった。

「…ソフィー?」
「ごめんへカーティア、ちょっとボク出かけてくる。」
「出かけるったって、二人の舞台はまだまだこれからよん?どこ行くの?」
「ちょっとね!」

ヘカPの制止をも振り切り、ソフィーはどこかへと走っていく。

「もう…なんなのかしら…。」

折角コーチした子達の晴れ舞台を見たくは無いのかと思いつつ、ヘカPはステージを映すカメラに視線を戻す。

「…?」

しかし、そこでへカPも感じ取った。

「…何かしら?このお客さん。」

邪悪な意思、悪意に満ちた真っ黒な気配とでも言えば良いだろうか?
ソフィーはこれを感じとり、その元を探しに行ったのだと納得し、そして今度は観客席を映すカメラに目をやる。

「…。」

おかしい奴がいる。
格好もボロボロで、歩き方もフラフラと覚束無い、
言うならばそう、ゾンビのような奴らが熱狂する観客の後ろから迫りつつあるのだ。

「これは…まずいわね!!」

パイプ椅子から立ち上がり、ヘカPは急ぐ。
しかし、


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