暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生とめでたい幽霊
第五幕その十一

[8]前話 [2]次話
 そうしたお話をしてでした、先生は。
 たこ焼きも食べて次はいか焼きもでした、生地のそちらを道頓堀で食べて満喫してそうしてからでした。
 神戸への帰路に着きました、すると。
 今度は王子がです、先生に言いました。
「帽子にマントの男の人がいたよ」
「そうなんだ」
「さっき擦れ違ったよ」
 そうだったというのです。
「それで着流しだったよ」
「その人は」
 先生はその人のお話を聞いて王子に言いました。
「生圀魂神社の織田作さんの銅像だね」
「そのままだね」
「うん、戦前のファッションでね」
「そのファッションでだね」
「織田作さんは実際に大阪を歩いていたけれど」
「昭和の前期だよね」
「大体十年から二十一年だね」 
 この頃だというのです。
「織田作さんは昭和二十二年一月十日にお亡くなりになってるから」
「二十一年までだね」
「その頃までは日本は着物の人も多くて」
 それでというのです。
「洋服も入っていてね」
「帽子もあったね」
「着流しに帽子とか」
「マントを羽織ることも」
「あったよ、そうした和洋折衷のファッションがね」
 それがというのです。
「日本はね」
「あってだね」
「大阪にもね」
 この街にもというのです。
「いたんだ」
「そして織田作さんもなんだ」
「そうしたファッションでね」
「銅像にも活かされているんだ」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「実際に着ていて」
「銅像に再現されているんだ」
「今じゃああした素敵なファッションも時代遅れでね」
「着ている人はいないね」
「そうなっているけれど」
 それでもというのです。
「どうして今いるのかな」
「実際にそのファッションだったよ」
 王子は先生に答えました。
「擦れ違っただけだけれどはっきり見たよ」
「あれっ、それじゃあ」
「僕達がハイハイタウンで見た人?」
「擦れ違ったけれど」
「その人かな」
「まさか」
「そうかも知れないね、しかしね」
 王子は首を傾げさせていいました。
「僕もそんなファッションしてみようかな」
「織田作さんみたいにだね」
「和洋折衷のね」 
 そうしたというのです。
「着物にマントと帽子とか」
「王子もなんだ」
「どうかな」
「面白いね、僕はいつもスーツだけれどね」
 外出の時はです、本当に先生はいつもスーツです。ただしお部屋の中で作務衣を着たり旅館で浴衣を着たりもします。
「王子がそうしたいなら」
「いいんだ」
「日本では裸にならない限り」
 そうでもないと、というのです。
「批判されないよ」
「どんなファッションでもだね」
「もっと言えば誰かを侮辱する様なものでなかったら」
 裸以外にです。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ