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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
翼星の守備力
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う理論がある。それは《内角高めのイメージを持て》っていう理論だ」
「そんな理論があるんですか?」

未経験者の莉愛はもちろん、経験者の瑞姫や上級生たちもほとんどのメンバーがクエスチョンマークを浮かべている状態。それだけ彼の言った今の理論は浸透していないものなのである。

「これは習性的なものだな。打者はイメージよりも身体に近いボールや高いボールに反応しにくいんだ。だからあえてそのイメージを持つことですべてのボールに対応できるって考え方だ」

へぇ、と感心したような声を出す少女たち。しかし、それだけでは先程の説明がわからないままである。

「ストレートを打者が基準にするのはスピードと通常(・・)の変化球ではこれよりも上を通過する球種がないからだ」
「あ……」

バックスピンをかけることでもっとも浮力を与えられているストレート。それに対し横回転やトップスピン、無回転といった様々な回転で異なった変化を与える変化球は浮力が落ちる。そのため、どの球種もストレートより上を通過することがないのだ。

「球の出だしが遅ければストレートよりも低く来るのは決まっているからそこから対応すればいい。だが、ライズボールはストレートよりも遅いにも関わらずそれよりも高いコースに向かってくる。だから捨てようにも身体が変化球と錯覚してしまい手が出てしまうんだよ」

悩ましげに腕を組む真田。そんな彼に明里が思ったことを聞いてみる。

「じゃあライズボールに照準を合わせてみては?」
「それだとストレートが来た時に対応できないんだって」
「あぁ……そうでした」

真田のその回答を聞いた後、今度は優愛があることに気が付く。

「あれ?でも今莉子さんにカーブかシュートを狙って言ってたような……」

今の理論からだとその狙い球は的外れになってしまう。それなのに監督はその指示を平気な顔で出していた。

「ライズに手を出しにくくするための方法の一つだな。変化球に照準を合わせておけばストレートは手を出さないし、出だしが近い軌道になるライズも手を出さない……はず」

最後の一言が不安を煽ったがここは彼の経験値を信じるしかない。なかなか対戦する機会のないアンダースローを相手にどう攻めるべきか、少女たちは試合へと視線を向けた。
















(狙いやすいならカーブだろうな。まだノーアウトだし、ゲッツーもない。気楽に挑める)

打席に入った莉子に力みはない。それを見て岡田はタメ息をついた。

(この場面じゃ力みなんかあるわけないか。となると大量点を避けるために低めに集めるか……)

仕方なしといった様子で低めへのカーブを要求する岡田。しかし、遠藤はそれに首を振る。

(珍しい……ならシュー
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