煉獄
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いなくなっちゃったの?」
美炎は可奈美越しに周囲を見渡す。
だが、今可奈美の背後より美炎へ届くのは、トレギアの動きではなく煉獄の刃。
炎を纏った日輪刀が、千鳥より加州清光の相手を受け持つ。
「安桜少女! 目を覚ませ!」
「何言ってるの? わたしは正気だよ?」
それぞれが炎をまき散らしながら、赤の世界により彩りを加えていく。
「煉獄さん! 私も加勢します!」
煉獄が切り離されたタイミングで、可奈美も割り込む。美炎や煉獄のような攻撃性能がない可奈美が秀でるのは、その素早さ。可奈美の千鳥が、美炎の体を包む漆黒の鎧を次々と傷つけていく。
「いいよ! 可奈美! もっと戦おう! もっと、もっと激しく!」
美炎の兜。その下から覗く目が、深紅の尾を引く。可奈美もそれに対応し、迅位を用いて斬り合う。
「うむ! ならば、俺もその速度に追いつこう!」
さらに、煉獄もまたその速度に追いつく。
やがて三人の剣は、音速にも匹敵し、やがて見る者にとっては無数の光のみが輝いているようにもなっていった。
「火之R毘古!」
美炎の漆黒の刃が、可奈美と煉獄を襲う。
一撃だけでも防御体勢を強いられる攻撃に、可奈美は大きく吹き飛ばされる。その高威力は、可奈美の体に大ダメージを与え、写シを剥がし、生身に戻してしまった。
煉獄も、数発は防御して見せたが、やがてその攻撃を顔に受けた。
「っ!」
「煉獄さん!」
嫌な音が聞こえた。
美炎の刃が、煉獄の右目を潰したのだ。彼の右目は視界を失い、血が顔の大部分を塗りつぶしている。
だが、煉獄は倒れない。美炎の剣を捌きながら、何度も打ち合っている。
やがて美炎は、剣先より炎を飛ばし、可奈美、煉獄を引き離す。そのまま加州清光の剣先を左手で撫で、宣言した。
「これで終わらせる!」
美炎は同時に跳びあがる。
頭上から凄まじい速度で降下してくる美炎。その刃が、可奈美の命を奪おうと迫る。
だが。
「煉獄さん!?」
横から割り込んだ煉獄が、可奈美を突き飛ばす。
そしてそれは、彼が美炎の攻撃を生身で受けることを意味していた。
爆発とともに、地下空間に爆発が巻き起こされる。
「煉獄さん!」
爆炎に向け、可奈美は叫んだ。
やがて爆炎が晴れ、その内側が明らかになっていくと。
「違う。そうじゃない……」
静かな声色でそう言う煉獄の姿に、可奈美は息を呑んだ。
黒い炎を纏った刃の突きは、煉獄の右胸を貫通。
「っ?」
可奈美は口を抑える。彼の足元の赤。
それは、マグマとも炎とも全く異なる。もっと身近な赤。
「煉獄さん……血が……!」
「気に
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