煉獄
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……見るなああああああああっ!」
「トレギア……あれが、トレギアの素顔なの……? 何か、弱そう……?」
その姿に、可奈美は思わずそんな感想を漏らす。どす黒い蒼ではなく、清廉な水色になったトレギアは、可奈美の顔を認識し、即座に叫んだ。
「そんな目で、私を見るなああああああああ!」
トレギアの動き。
両手を顔の傍に構えるそれは、トレラアルティガイザーを思わせる。だが、両手に走らせた雷光。その後、十字に組まれた腕より、光線が発射される。
可奈美よりも先に煉獄に届いてしまう。可奈美は迅位を駆使して煉獄の前に割り込んだ。
「迅位斬!」
速度を極めた可奈美の斬撃が、そのままトレギアの光線を叩き落とす。トレラアルティガイザーと比べて威力不足を感じながら、可奈美はそのままトレギアへ迫っていく。
「もう一発!」
そのまま繰り出された迅位斬。それは、トレギアの体を切り裂き、大きく火花を散らした。
「ぐあっ!」
あまりにもあっさり。
これまでの彼の来歴から考えると、信じられないほどに簡単に。
トレギアは地面を転がり、そのまま大の字で壁に張り付いた。
「嘘……? ここまで弱体化しているの?」
「貴様……!」
トレギアはふらつきながら、落としたアイマスクを再び顔に装着させる。見慣れたエフェクトとともにトレギアの姿が闇色に染まっていくが、心なしかこれまで見てきたトレギアよりも弱々しく見える。
「トレラ……アルティガイザー!」
苦しそうな声色のそれ。
これまで何度も聖杯戦争の参加者を苦しめてきたそれだが可奈美の太阿之剣に簡単に両断された。
その事実を認識したトレギアは、自らの両手を見下ろす。
「な、何だこれは……!?」
「炎の呼吸 壱之型 不知火!」
トレギアが茫然としている間にも、煉獄の技が発動する。彼の神速ともいえる早業のそれは、トレギアからすれば慌てて跳びあがらなければならないものだった。
だが、紅の一閃を完全に避け切ることは適わず、その右腕に大きな切り傷を作った。
「がああああああああっ! おのれセイバー!」
叫びながら、トレギアはどんどん戦場を離れていく。彼は、その赤い眼__その仮面の下は、真逆の青い眼だと分かってしまった__で煉獄を、そして可奈美を睨む。
「許さんぞ! 煉獄杏寿郎! 衛藤可奈美ぃぃぃぃ!」
トレギアはそう叫び。
その姿は、蒼い闇の中に消えていった。
「……」
もう、トレギアの気配も感じない。
最凶の敵がいなくなったことで、可奈美は大きく息を吐いた。
だが、即座に可奈美は千鳥を縦にする。直後、美炎の加州清光が、彼女の体重を乗せた斬撃で攻めてきた。
「あれ? あの人、
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