192 少年の記憶の中
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る。忌々しい思い出と共に学校での記憶、色々な地での記憶・・・。しかし、旅行に易々と行ける家庭環境ではなかったので、旅先で可愛い女子に会った記憶というのもない。
(やっぱり、笹山さんかな・・・?)
ふと学校で好きだった女子の顔が思い出される。しかし、ある少女を置いて野良犬から逃げた事で皆から責められた事、合唱コンクールの彼女の頑張りを褒めようとしたところで皆から歌い出しが遅れた事で労わりをかけられたその女子とは対照的に自分は非難という形で注目が集まってしまった事から過去の存在として忘れるように決意していた。
(いいんだ、いいんだ、笹山さんは・・・!!)
やはり、自分には可愛いと思った女子はその笹山かず子とかいう少女以外にいない。となると何がなんでもこの遊女達を嫁にしなければならないと思った。だが、誰かを選べば、選ばれなかった者には不満がられるかもしれない。
「やはり、いないみたいではあるな」
「う・・・」
ここにいる遊女達も皆可憐ではある。一方で「前の世界」にいた時には今まで自分が一目惚れした事のある女子はいない。その時、兵が一人、入って来た。
「紂王様、赤軍の人間が訪れました」
「なぬ?」
紂王はその場を外した。
「まあ、ゆっくり考えるといい。選べないからといって坊やを責めたりはしない。それに気にする事はない。ここの女子達も選ばれなかったからといって文句は言うはずがない筈だ。祝言を嬉しく思うし、いつでも遊んでくれる」
「は、はい」
少年はそう言われると心が少し落ち着いた。
(それじゃあ、あの子達のどれかを貰おう・・・)
少年はそう思った。だが、そうなる度に選べなくなるものである。
「藤木茂、お前に会いたいと言う者が現れたぞ」
「え、僕に?」
一人の男が現れた。
「和光晴生と言う者だ」
「よう。坊主が藤木茂という奴か」
「は、はい」
少年は現れた男に少し怖気づいた。
「今、この坊やの嫁をどうしようか悩んでいたところなのだよ」
「嫁、か。ガキの癖に色男だな。で、どいつを嫁にすんだ?」
「実はその・・・」
少年は返答に詰まった。
「実はまだ決められていないのだよ」
妲己が代弁した。
「そうか、前の世界では好きだった女子から嫌われたと聞く。他のガキに会った記憶もないのか」
「は、はい・・・」
「単に思い出せないだけじゃないのか?まあ、お前の記憶を映像で探ってみてもいいんじゃねえか?」
「え?できるんですか?」
「ああ、これでも俺は映画が好きだった。この世界と繋ぐ事ができてから映画についていろいろな能力を持つ事ができたんだよ。んじゃ、見てみるか」
こちら本部守備班。さり達はテレーズも交えて侵略者の迎撃の待機をしていた。
(あの時はテレーズがいたから何とかなったけど、そうじゃ
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