外伝 赤城編 04 佐世保沖海戦とティレニア海海戦(T)
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鎮守府を制圧するというものであった
更には呉、佐世保、舞鶴からはそれぞれ12隻ずつ、計36隻の艦娘を派遣する計画であった。既に欧州艦隊とは内々で話がついており、仮にサンディエゴに向かう途中で某鎮守府所属艦娘が反旗を翻したとしても、双方合わせれば充分に制圧可能な編成計画が組まれていた
トリガー発動条件は、某提督が大本営の要請に従わず、派遣部隊に赤城と加賀を同行させなかった場合である。それを以て某提督に叛意ありと見なし、強制捜査を行う算段となっていた。そのための法整備も既に完了していた。
このような大がかりな作戦を大本営が立案した背景には、第二次深海棲艦戦争以来、大本営が艦娘を信用できなくなっていた事にあった。その為にナノテクノロジーを駆使し艦娘を統制しようとしていたわけであるが、今回はそれが裏目に出た形となっていた。深海棲艦という人類共通の敵が未だに人を脅かし続けている現在、地方の提督がアドミラル権限を悪用し艦娘を掌握するという愚行は想定の外にあった。これは大本営にとって誤算であった
因みに今回の作戦は、一時的とはいえ、国内の戦力を少なからず空洞化する事になり、有事の際に大変なリスクを伴う事になる。いかに赤城、加賀の沈黙に動揺していたとはいえ、言ってみればこれは大本営の怠慢・・・油断と言えなくもない。彼らとて、長らく続いた深海棲艦との小康状態に慣れきっていた感は否めなかった。これが地方の提督クラスなら、尚の事であった
ともあれ、大本営は祝賀航行部隊への派遣要請を某提督に通達した。ここまでが昨年度の出来事であった
これらの動きに対し、某提督は何の疑問も抱いていなかった。むしろ大本営の要請に従う事は、有益な得点稼ぎ位にしか思っていなかった
ただ、赤城・加賀両名の派遣にだけは難色を示していた
両名の派遣を渋る表向きの理由は、深海棲艦の出現が近年めっきり少なくなったとはいえ、当鎮守府の虎の子の一航戦を海外派遣メンバーに加える事は、手薄になった国内の守りに支障を来す恐れがあり、好ましくないというものであった
尤もそうな理由であるが、無論これは詭弁であり、そんな殊勝な事を考える某ではない。本当の理由は言わずもがな、現在の一航戦が置かれている状況を大本営に知られたくなかったからであった
皮肉な事に、この某の表向きの見解は、大本営のそれよりも正鵠を射ていた。彼のこの決断が、結果としてこの後に起こる事態の収拾に大きく関わる事になったのである
それはそれとして・・・・
実際の所、出世以外に興味のない某提督に叛意などあるはずもなかったのであるが、余りに不審な行動を繰り返した結果、大本営に警戒されてしまったのである
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