外伝 赤城編 04 佐世保沖海戦とティレニア海海戦(T)
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皇記2735年度上半期分の、大本営に提出されていた某鎮守府の戦闘詳報の記載内容に改竄の疑いが持たれていた事に端を発していた
艦娘による鎮守府間の定期演習は、各鎮守府が持ち回りで主催し、演習内容の一部が一般に公開されている。その様子は公共の電波で報道される事もあるのだが、茶の間に流れた某鎮守府所属艦娘のオーダーが、戦闘詳報に記載され大本営に報告されていた艦種と異なっていた事があった。それを当時主計課に勤務していた大淀が気付き、演習用資材の発注伝票を精査した所、不審な点が多数見つかったのである
それだけではなかった。演習や任務への参加記録が、実際の出撃データと異なっている部分が相当数に及んでいた。特に一年以上前の出撃記録の改竄が顕著であった
そして調査を進めているうちに、大淀はとんでもない事実を突き止める。某鎮守府所属の超大物艦娘である赤城と加賀が、この一年もの間、演習はおろか、只の一度も哨戒任務を行っていなかったのである
それらの調査報告書をかつての上司であり、現特務機関のトップである前川特務機関一等海佐に報告した事で、これが大本営の知る所となった。事態を重く見た前川一等海佐の要請を受け、これまでは主計課に席を置きながら極秘裏に諜報活動していた大淀は、正式に特務機関付となり、密かに某鎮守府の内情調査を行っていた
その結果、赤城と加賀、鳳翔の三隻が、事実上の退役扱いとなっており、更に一年以上前までは某鎮守府所属艦娘のおよそ八割が、あらゆる任務や演習参加をしていなかった事実を突き止めたのである。にもかかわらず、一航戦の両名が現状に対して何の動きも見せていない。大本営や艦娘の行いに何か不手際が生じる度に、常に介入してきた赤城と加賀である。二人の性格を鑑みれば、これは有り得ない事であった
某鎮守府の中で何かが起きている事は明白であり、何らかの理由で、某鎮守府所属艦娘が身動きが取れない状況に置かれている可能性が予想された
これらの報告は、大本営にとって正に寝耳に水であった。第二次深海棲艦戦争以降、大本営は艦娘の掌握に腐心してきた。艦娘に対して不義理であるとわかっていても、ナノマシンを駆使してアドミラル権限を強化し、有事の際は艦娘の動員に不備がないよう働きかけてきた
そしてその過程において、常に一航戦の赤城と加賀の介入があった。彼女たちは艦娘側にも、大本営側にもどちらにも与しないスタンスを貫いていた。軍人提督達の艦娘使い捨て横行の際には、大本営軍人処罰に関する約定を締結させた。艦娘たちの多くが深海棲艦軍との戦いをボイコットし、戦場に背を向けた時も、赤城たちは躊躇いもなく自ら進んで死地へ赴き、その命を散らしていった
赤城と加賀の存在は、大本営にとって、事を思うように運ばせない忌
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