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短編 FATE/Zero hide of moonlight
動き始めた運命
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らんか? 貴様が抱えている小娘より、ワシのサーヴァントになれば一層、聖杯に近付くことが出来る。貴様も聖杯に叶える望みがあろう」


 悪魔のような邪悪さを携えた微笑みを、臓硯はハイドに向けた。それを全て聞き終えたハイドは、瞼をゆっくりと開くと、口を動かした。


「・・・言いたい事はそれだけか?」

「・・・何?」


 ハイドの言葉に、先程まで上機嫌だった表情を訝しげに変える臓硯。それと同時に空気が張り詰めた雰囲気へと変わる。


「・・・言いたい事はそれだけか、と聞いているんだ」

「貴様・・・!」


 なおもハイドの問いかけた言葉に臓硯は憤怒の感情を表し、激怒する。・・・が、臓硯が激怒した瞬間、視界に捉えていたハイドが霞となり消えた。


「・・・っ!?」


 臓硯はハイドが霞になって消えたことに驚愕する。けれど、すぐさま心を落ち着かせ、冷静にハイドの気配を探す。漠然と、後ろに気配を感じて勢い良く振り向くと、臓硯の後ろに少女・・・間桐桜を抱き上げたハイドが立っていた。
 後ろを振り向いた臓硯の視界に入ったのは、ハイドの腕に何かしらの模様が紅く光りながら浮かび上がった所だった。
 ハイドの腕を見た臓硯は、反射的にハイドから距離を置こうと身動きする。だが、その前にハイドが臓硯の肩に触れた。


「・・・貴様、何をした」

「直に分かる」


 ハイドが答えると同時に、臓硯の身体に異変が生じる。ハイドが触れた肩から、ハイドの腕と同じ、紅く光る模様が浮かび上がり臓硯の身体を侵蝕する。
やがて、肉体の崩壊を起こし始めた。それは、間桐臓硯の体内にいる蟲の死滅を意味していた。


「な・・・馬鹿な!? 貴様、ワシに・・・儂に、一体何をした!」


「『我が徒手は魔を滅ぼし』(ツァウバー・オブ・ブレイク)。あらゆる魔術を破壊する対魔術宝具能力だ。・・・消え失せろ、外道」

「――――!?」


 言葉にならない悲鳴を上げながら、逃れるように動く臓硯は、足を踏み外し蟲蔵の中に落ちて逝く。蟲蔵に落ちた臓硯の身体を蝕む紅い光りは、やがて周りにいた蟲達にも侵蝕し、死滅させる。臓硯の身体と蟲達はそ
の痕跡を跡形も残さずに消滅した。

 全ての蟲が死滅したのを見届けると、ハイドは抱き上げている少女の顔色を伺う。少女の顔色は精気を取り戻したように良くなり、また安心している表情が見て取れた。


「良かった。成功したみたいだ」


 安堵のため息を吐き優しい微笑みになるハイド。少女を抱き上げた腕にも臓硯に触れた紅く光る模様が浮かび上がっていた。それは、彼女の体内に巣くっていた蟲も完全に排除出来た事を示していた。

 もう一度少女の顔色を確認すると、少女を落とさないよ
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