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短編 FATE/Zero hide of moonlight
動き始めた運命
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輝いて暗闇を浸食して行く。
意識が朦朧とする中で、最初に感じたのは浮遊している感覚。でもそれ以上に感じたのは、自分を抱えてくれるとても温かな人の体温だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
暗闇の中で確かに聞こえてきた。彼を呼ぶ声が。
救いを求める少女の悲しい叫びが。
『・・・誰か、助けて』
その声音が彼の記憶にある最も愛おしい彼女のモノと重なる。
聖杯はマスターにふさわしいサーヴァントを選抜する。招かれるのはこの声の主にふさわしい英霊のみ。
少女の声が聞こえる方へ、徐々に引っ張られる感覚を感じる。どうやら聖杯は彼を招くことに決めたようだ。このマスターにふさわしいサーヴァントは彼だと。
彼が瞼をを開けると、目の前には、未だに年端もいかない少女がそこにはいた。焦点の定まらない瞳で天井を見上げ、横たわりながら浮遊して。
一目見てこの少女が彼の何なのか、考えなくても理解した。
それはサーヴァントとして呼び出された故のもの。その少女こそが自分の召喚主、つまりはマスターであると悟った。
召喚の光が消える前に、彼は何も着ていない少女に自分が羽織っていたローブを纏わせ、そっと浮遊が終わって落ちる少女を抱えた。抱き上げている少女は安心したのか、ゆっくりと瞼を閉じて意識を手放した。
「・・・」
彼は気を失った少女をしっかりと抱えると、踵を返す。そして、この暗闇の蟲蔵から出ようとした時、誰かに抑止の言葉を掛けれた。
「待って」
声が聞こえた方へ視線を上げる。階段を上がった先にある蟲蔵の出口。そこには、不気味な雰囲気を纏った一人の年老いた
矮躯
(
わいく
)
の老人が立っていた。
老人・・・間桐臓硯は彼の視線を感じると、正体を探るように話し問いかける。
「まさか、六人目のサーヴァントだとはな。貴様、クラスは何だ?」
臓硯の問いに青年である彼は、一度抱き上げている少女を一瞥すると臓硯に視線を戻し、一言でその問いに答えた。
「・・・ハイド」
青年である彼・・・ハイドの、その一言は決して大きくない小さな声だったが歴然とした強い意志を宿していた。
それに対し、ククク・・・と、臓硯は喉の奥から愉快げに湿った音を鳴らし、落ちくぼんだ眼球の奥にある光は歓喜を湛えていた。
「なるほど、なるほど。やはりイレギュラーだったか。間桐にサーヴァントが2体、これはまさしく僥倖。今回の聖杯戦争は勝てるやもしれんな」
カラカラと嗤う上機嫌な臓硯は、ハイドを見据えると、にんまりと陰鬱で悪い笑みを浮かべ、饒舌に話しだす。ハイドはそれを瞼を閉じて静かに聞き入れる。
「貴様、ワシのサーヴァントにな
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