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短編 FATE/Zero hide of moonlight
動き始めた運命
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、もう無理なのだ。
だからせめて。せめて最後は笑顔で自分の想いを言おう。
「・・・あぁ。まだ、言いたいことが・・・沢山、あるんだけど。これ・・・だけは、最後に・・・伝える、よ」
自分の声音も少しずつ弱くなっていく。自分はもう限界なのだと自覚する。
それを彼女も感じ取ったのだろう。彼女の目尻に溜まっていた涙が頬を伝う。涙を流しながら彼女は聞いてくれた。
「・・・なん、ですか?」
最後の力を使って、涙を流している彼女の涙を拭い、いま出来る最高の笑顔を作る。
そして自分の最後の言葉を、想いを伝えた。
−−−俺は、君が大好きだよ・・・『アルトリア』。
俺は笑みを浮かべ、彼女は驚いた顔をしたのを見て、そのまま自分のあらゆる感覚と意識が暗闇に落ちていく。
最後に想った事は、王であり、誰よりも国を想う心優しい少女の心配だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
間桐家の地下深くに広がる隠匿した蟲蔵。間桐(まとう)雁夜(かりや)が第四次聖杯戦争においてサーヴァント召喚のために陣を敷いた場所である。
既に雁夜がサーヴァント召喚を終えて数日。この薄暗い空間には一人の少女、間桐桜が居た。
いや、それには少しばかりの誤りがある。
桜以外の存在はさっきから全身に纏わり付いて気味の悪い音を立てながら蠢いている。そこには気持ち悪い蟲が一つの生き物のように蠢いていて、それらは桜をなぶり続けていた。
それを気にせずに、彼女は無機質で何の趣も無い天井をただただ見つめていた。
初めは余りの苦痛に泣き叫んで助けを求めたけれど、誰も自分をこの地獄から救い引き上げてくれる人は現れる事はなく、数日が経った時には既に、助けを呼ぶ気力も声を出す力も失せていた。
−−−どうして、こんな地獄のような所に居ないと行けないの?
−−−どうしてお父さんはこんな家に私を預けたの?
−−−どうしてお父さんもお母さんも、お姉ちゃんも誰も迎えに(助けに)来てくれないの?
−−−どうして誰も救ってくれないの?
何度も何度も何度も、
考えて考えて考えた。
−−−けれど。
答えてくれる人はいない。
助けてくれる人もいない。
救ってくれる人もいない。
それでも尚、彼女は虚ろな目に涙を浮かべながら、救われるはずなど無いと分かっていても呟いた。
「・・・誰か、助けて」
彼女の願いを叶える者はいない。
けれどもし、彼女の・・・その願いが通じたのならば、それは偶然なのか。
彼女が居た場所から突然の仄かな赤い光。それは溢れる眩い
光となり、燦々と
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