二十話
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に圧倒的勝利であった。
「ふぅ、満足満足。さて、あっちも助けてやるとするか」
エヴァンジェリンは地上に降り立つと影に沈み、弟子の救援へと向かった。
「どうした、動きが単調だぞ」
ネギとフェイトの戦いは一転してネギが優勢で事を運んでいた。その理由は焦り。フェイトは自らの内に抱く焦りによって動きの精彩さを僅かだが欠いているのだ。
余り感情などを抱かないはずの彼だが、この状況ではさすがに思うところがあるようだ。何せ、彼は滅ぼされるわけにはいかない。己の存在意義を満たすため、それはあってはならないのだ。
だが、このままではそれが起こりうる。一刻も早くこの場を離れなければならない。だが、それは目の前の相手が許してくれない。
「これで……!」
このまま剣を交わし続けても戦況は変わらないと踏んだフェイトは岩剣を捨て、無詠唱の魔法を放つ。選択したのは自分を中心に数多の岩の棘が周囲に生える対集団用の魔法だ。無詠唱では範囲が狭まるとはいえ、ネギにある程度の距離を開けさせることはできる。そして……
「また、君とは会うことになる気がするよ。ネギ・スプリングフィールド」
その隙さえあれば、フェイトは充分転移を発動させることが出来る。足元に魔法陣が現れ、転移が発動しようとした正にその時。
「どこへ行こうというんだ? なぁ」
フェイトの腕が、彼の影から現れた別の腕に掴まれていた。
「飛べ!」
蚊を払うかの様に無造作に振られたもう片方の腕。しかし、その腕に込められた魔力は膨大。ちょっとやそっとでは砕けないはずのフェイトの障壁は、まるでガラスか何かの様に砕け散った。
だが、これは都合が良かった。何せ、向こうから遠くへ吹き飛ばしてくれたのだ。しかも、追撃の気配が無い。
「ネギ・スプリングフィールド」
先ほどまで対峙していた相手の名をもう一度呟き、今度こそ転移を発動させ、フェイトはこの場から完全に消え去った。
「エヴァ」
「何だ?」
「君のせいで奴にまんまと逃げられたではないか」
「わ、私のせいか!?」
フェイトを倒すためのジョーカーが、どういうわけか此方に牙をむいた。その結果にネギは怒る気にもなれずただただ呆れていた。とりあえず、目的であったこのかの奪還は成功したのだからと自分を納得させ、只今絶賛エヴァンジェリンをいじくり中である。
「今回の礼に君の好物をごちそうしようかと思っていたのだが、やめにするか」
「なにぃ! ちょっとまて! 私はスクナを倒しただろう!」
「さて、近衛達は……」
「無視するなぁ!」
フェイトと言う未知の脅威こそ取り逃したものの、長かった修学旅行の夜もようやく終わりを迎えたのだ
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