第116話『夜の魔術師』
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っと……その、アレなのよね。個性的というか何というか……」
「あはは……」
ついでに気になることを訊いてみたら、言葉を濁される。いや、もうほぼ言わんとすることは伝わったけども。なんかもったいないな、あの人。
「召喚魔術ってなんかデジャヴが……って、言ってる場合じゃねえな」
『モォォォォ!!!』
雄叫びを上げながら終夜に向かって突進してくる牛ことモーさん。この巨体に突撃されたら、人間なんて簡単に壊れそうだ。
しかも、召喚とはいえ月が創っている訳だから、言ってしまえばあの牛は全身が魔力の塊。触れるだけでダメージを負うほどの攻撃判定の強さときた。近づかれるだけでも展開は悪い。
「これしかねぇか」
ため息をついて、いつぞやの魔女を思い出しながら、終夜は冷静に指鉄砲を構える。
魔力の塊に対抗できるのは、同じく魔力の塊しかない。
「"冥雷砲"!」
『……ッ!』
雷が落ちたような轟音と共に黒雷が迸ったかと思うと、牛はうめき声を上げることすらなく、その姿を霧散させていた。終夜の"冥雷砲"が、その威力をもって牛を形作る魔力を弾き飛ばしたのだ。
「あれ?! あたしのモーさんが!?」
「おっと、なんか前より柔くないですか? もしかして手加減してます?」
「まさか。あんたがちゃんと成長してるみたいで、先輩として嬉しいくらいよ」
予想外の展開に呆気に取られる月を見て、終夜はしたり顔。余裕を感じて煽ってみると、月は面白そうに笑い、次なる召喚の準備を始めた。
「なら次は……"サジたん"と"チクチク"!」
2体。人馬と蠍である。描いた星座を見てもわからないが、出てきたものを見るに射手座とさそり座といったところか。
「近づけないなら遠距離攻撃って訳ですか──でも、遠距離なら俺も得意ですからね! "冥雷砲"!」
相手の特性を把握すると、終夜は即座に指鉄砲の照準を2体の召喚獣に向け、続けて2発の黒雷を放つ。そして召喚されたてのそれらは、出番のないまま倒されて──
「やらせないよ! "キラキラ星"!」
「ちっ!」
しかし召喚獣に黒雷が届く寸前、月が放った光弾によってそれらは打ち砕かれた。倒されるとわかっていて、彼女が対策していない訳がないのだ。
そして高速で飛来する2発の弾丸を真っ向から撃ち落としたそのコントロール。やはり魔術だけではなく、人としても月は強い。
「それじゃお返し! やっちゃって!」
「っ!」
月の掛け声に合わせ、人馬が矢を放ち、蠍は尾から針を飛ばしてくる。しかも魔術が付与されているせいで、威力も速度も想像以上のものだ。
いくら"夜雷"の力で強化を受けていようと、それ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ