暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
原拠 その3
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
は内心にある寂寞(せきばく)の情を吐露(とろ)したのだ

彼女は目の前にいるマサキを見る
彼は、まるで遠くを見るような目で、窓の方を覘いていた
夕日が沈むさまを眺める彼には、何時もの荒々しさは消えていた
肉体は青年であっても、矢張り精神は、枯れ始めているのではないのか
その様な心配が、彼女の電子頭脳に浮かぶ


「飾り窓にお出掛けになって、瑞々(みずみず)しい紅裙(こうくん)でも、お求めに為られては」
彼女は、設計者である彼への(かす)かに残る憐憫(れんびん)の情から、そう告げた
(みじ)めになる様な、戯言(ざれごと)は止せ。
俺達を駒のように扱う連中は、褒賞(ほうしょう)と称して、仙姿玉質(せんしぎょくしつ)の令嬢を用意するかもしれぬ。
或いは、戻ってから豊麗(ほうれい)な女を、手に入れ、如何様にでも(はずかし)めるのも良かろう。
先々の事情も分からぬ内に、手弱女(たおやめ)を見繕う話など、今為すべき事ではない。
お前も中々のガラクタだな」

手酷い扱いを受け、項垂れる美久
彼は、その様を見て冷笑する
「その推論型AIというのも、中々興をそそられる物だ。
久々に逸楽(いつらく)(ふけ)るのも良いかもしれん……。
俺の(たかぶ)る気持ちを納めさせてみよ」
彼はそう告げ、右手で彼女を引き寄せ、抱きしめる
黄昏る周囲を見ながら、幕帷(ばくい)を静かに引き寄せた
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ