第二部 1978年
ミンスクへ
原拠 その3
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は内心にある寂寞の情を吐露したのだ
彼女は目の前にいるマサキを見る
彼は、まるで遠くを見るような目で、窓の方を覘いていた
夕日が沈むさまを眺める彼には、何時もの荒々しさは消えていた
肉体は青年であっても、矢張り精神は、枯れ始めているのではないのか
その様な心配が、彼女の電子頭脳に浮かぶ
「飾り窓にお出掛けになって、瑞々しい紅裙でも、お求めに為られては」
彼女は、設計者である彼への微かに残る憐憫の情から、そう告げた
「惨めになる様な、戯言は止せ。
俺達を駒のように扱う連中は、褒賞と称して、仙姿玉質の令嬢を用意するかもしれぬ。
或いは、戻ってから豊麗な女を、手に入れ、如何様にでも辱めるのも良かろう。
先々の事情も分からぬ内に、手弱女を見繕う話など、今為すべき事ではない。
お前も中々のガラクタだな」
手酷い扱いを受け、項垂れる美久
彼は、その様を見て冷笑する
「その推論型AIというのも、中々興をそそられる物だ。
久々に逸楽に耽るのも良いかもしれん……。
俺の昂る気持ちを納めさせてみよ」
彼はそう告げ、右手で彼女を引き寄せ、抱きしめる
黄昏る周囲を見ながら、幕帷を静かに引き寄せた
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