第二部 1978年
ミンスクへ
原拠 その3
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「話を逸らかさないで下さい」
赤く鬱血した頬を右手で擦る
彼女の右手を掴むと背中の方に向けて捻じ曲げる
「覚えて置くが良い。誰が貴様を作ったのかをな!」
委縮する彼女を正面の椅子に向かって、突き放す
その表情を見て、彼は満足そうに笑った
「まあ、良い。
後で、それなりに可愛がってやるよ……」
左の頬に鏡を見ながら湿布を張る
「俺が、なぜお前に似せて幽羅を作ったのか……。
今日は気分が良い。ついでに包み隠さず明かしてやろう」
手鏡を下向きにして机の上に置く
「本気で世界征服を目指すなら、鉄甲龍の首領なぞは、むしろ男の方が良かった。
なぜ、女にしたのか。それは内側から瓦解させる為よ。
仮に美男の葎を首領にしたとする……。
例えば、シ・アエン、シ・タウ辺りを側女に置き、寵愛の対象にするようプログラムして居たら、俺は大変な苦戦を強いられたであろう……」
正面の椅子に座る美久は、彼を真剣な眼差しで見る
「だが、俺は敢て幽羅を首領とし、耐爬のような匹夫を用いるよう仕組んだ。
その結果はどうなった」
冷笑しながら続けた
「奴等は、俺と戦う前から、組織内で自らの仲間と戦い始めたではないか。
首領が男で、部下の殆どが女であったならば、等しく寵愛を授けるぐらい出来たであろう。
女では精々、対応出来ても二人ぐらいまでよ……。深い関係になって見よ。
もうその亀裂は修復不可能になる……、それ故そうしたのだよ」
「俺は、女の指導者や、女帝、女王の類は信用できん。
思い起こしてみよ。
煌びやかな祭器を作り、強大な軍事力を誇った西周は、幽王が美女と名高い褒?という女性を妃に迎え入れた事によって惑わされ、滅んだではないか。
ギリシャの残香漂い、栄華を極めたプトレマイオス朝は、クレオパトラと言う、シーザーに取り入った淫らな女王の為に、ローマの属州に落とされたではないか。
はるか遠い古の話ばかりではない。
あの女スパイ、マタ・ハリが色香の為に、どれだけの人命が世界大戦で弄ばれたか。
俺は、女が……、女の指導者が怖いのだよ」
「無論、俺とて男だ。
多少は、人肌が恋しくなる時もある……。
だが、この世界に在って、現世より信用為らん連中に囲まれている。
蛾眉と語らい、佳醸を呑み、嘉肴を味わう。
雲雨の夢を見るのも良し。
ゼオライマーの力を持ってすれば、実現は容易いであろう。
果たして、本当にそれで良いのであろうか……
思い悩むときもあるのだよ……」
彼
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ