第六百四十九話 大団円となりその九
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「中近東だったから」
「それでは」
「あの顔はね」
十字架にあるその顔はというのだ。
「連合じゃ皆言ってるけれど」
「ありませんね」
「そうだよね」
絶対にというのだ。
「だから聖骸衣も」
「あれも偽物とです」
「なるね」
トリノのそれもというのだ。
「本当に」
「はい、私も確信しています」
セーラはトムに答えた。
「エウロパの十字架のキリストの顔はです」
「違うね」
「どう考えてもです」
「ないね」
「はい、ただです」
「ただ?」
「連合のキリストは時々お髭がないですね」
「ええ、そうよ」
アンネットが答えた、カレーなので今も酒は飲んでいない。ただ紅茶に自分の持っているジャムを添えて舐めながら飲んでいる。
「髭のない青年にね」
「それも整ったお顔立ちの」
「そう描かれるわね」
「左様ですね」
「けれどあれもないのね」
「そうです、当時髭を剃る風習はです」
それはというのだ。
「あの地域になかったと思われるので」
「それでなのね」
「あの髭はないですが」
エウロパのそれはというのだ。
「ですがそれでもです」
「お髭はあったのね」
「そうかと」
「というかへブライ、ユダヤ系ならね」
そのユダヤ系のアンの言葉だ。
「髪の毛もお髭もね」
「切らないし剃らないのね」
「私だって切ってないわよ」
アンはアンネットに答えた。
「ラビの人が切るなってね」
「言うのね」
「それでお髭もね」
こちらもというのだ。
「切るなってね」
「それで剃るなって」
「言うから」
「だからキリストもなのね」
「お髭あった筈よ」
「そうなのね」
「サムソンじゃないけれど」
聖書のこの人物の力の源は髪の毛であった、だから髪の毛を切られて力をなくし伸びてそれが戻ったのだ。
「切らないし剃らない」
「そこは五月蠅いのね」
「今もね」
「そうなのね」
「コーランの方は知らないけれど」
こちらのキリスト、イーサーはというのだ。
「実際のキリストはね」
「お髭あったのね」
「おそらくね」
「そうなのね」
「ローマは髭剃ってたわね」
ティンはこのことを言った。
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