第二部 1978年
ミンスクへ
原拠 その2
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表情になった
彼の本心はどの様な物なのか……
篁は、真意を図りかねる様な気がした
「初めの頃は、この世界を消し去る事を考えたが、途中で考えが変わった。
俺の為に奴隷として馬車馬の如く働かせて、その様を眺める。
新しい遊び場として、この世界を選んだ。
本心を言えば、そう言う事さ」
右隣に居る美久の肩に手を伸ばす
右手で肩ごと抱き寄せる
彼女は、満面朱を注いだ様になった
「最も、貴様等との茶番に飽きれば、此処に居る美久と共に、この世界事消し去ってしまうのも容易い。
その際には、手始めとして、間近にある月や火星でも焼いてやろう。
地球に居ながら、月や火星が消える。
愉しかろうよ」
彼は冷笑する
「或いは、世界各国の主要都市を衛星軌道より各個撃破する。
原水爆などを用いて、ロンドン、パリ、ニューヨーク等を焼くのも一興の内であろう。
最高の宇宙ショウと思うだろう」
巌谷が蔑む様な目で見ていたのを彼は気付いたが、無視する
「貴様、言わせて置けば……」
彩峰の発言を聞きながら、彼は右手で美久の上着の中に手を入れる
首の間から胸元に向かい、指を這わせる
嬌声を上げる彼女を後目に、左手で後ろ手にした両手を締め上げながら、弄んだ
「俺の話が本当か、どうか。
今から8時間ほど暇をくれ。
そうすれば、ソ連のウラリスクハイヴでも焼いて来てやる。
吉報を待つのだな」
「なぜ、ミンスクにしないのだ」
篁は、問うた
「ソ連の欧州戦力を削るためだ」
美久の反応に飽きた彼は、突き放すと篁の方に振り返る
「質問はそれだけか。俺は早速ウラリスクを焼いて来る」
立ち上がると、不敵な笑みを浮かべ、周囲を窺う
「話を聞け、木原!」
彩峰は、立ち上がって待つように声を掛ける
彼は呼び掛けを平然と無視し、美久の右手を掴む
「今日の所は勘弁してやるよ。
貴様等の戯言で、興が醒めた」
彼は、そう言い放つ
《世界を睥睨するソ連を焼き消す》
楽しいではなかろうか
彼の脳裏に、その様が浮かぶ
美久を右手で勢いよく引っ張り上げると、引きずりながらドアを開ける
「邪魔したな」
一言告げた後、部屋を後にする
室外から彼の冷笑が響くばかりであった
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