大荒魂
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「追いついた!」
ようやく、それらしい場所に辿り着いた。
ウィザードはマシンウィンガーのアクセルを止め、その隣ではブライが着地する。
何よりも先にウィザードの視界を支配したのは、その灼熱の光景だった。溶岩の湖が空間一面に広がり、細い足場など、溶岩の気まぐれ一つで飲み込まれてしまいそうだった。
ウィザードのマスク越しにも、その熱さが伝わって来る。
そして。
「ヤマタノオロチ……!」
呪いのこもった声で、隣のブライがそれを指し示す。
神話の時代より蘇った、赤き怪物。巨大な胴体より、八つに分かれた首がそれぞれ独自に動き回る。その赤い眼差しと顔、背中に無数に生える棘が特徴で、蛇というよりは、龍といった印象が強かった。
「あれがヤマタノオロチ……! お前が言っていた、ムーの敵である大荒魂!」
ウィザードが警戒を示すと同時に、ヤマタノオロチが吠える。天地を揺るがす咆哮。ウィザードはマシンウィンガーにしがみつきながら、その衝撃を受けた。
「こんな化け物……可奈美ちゃん! 美炎ちゃん! 煉獄さん!」
ウィザードは先にこの場に来ていたはずの仲間たちの名前を呼ぶ。
だが、ヤマタノオロチが支配するこの地下空間で、人間の姿が見えない。
まさか、とウィザードの脳裏に最悪の結果が過ぎる。
「ハルトさん!」
聞こえてきた可奈美の声。
見れば、可奈美と美炎がヤマタノオロチ、そのうち二つの頭と戦っているところだった。だが、二人ともとても無事とは言えない。全身のあちらこちらが傷だらけで、目を凝らせば生傷さえも見えてくる。
可奈美はヤマタノオロチの頭を足場にジャンプし、ウィザードの前に着地した。
「それに、ソロ! あなたもここに!?」
ブライの姿を認めた可奈美が、警戒を示す。
一方のブライは、可奈美に大して関心を見せずに、奥のヤマタノオロチを睨む。
「ムーが施した封印を、フェイカーが破ったのか」
「いいから、とにかくアイツを止めるよ!」
「うん!」
ウィザードは可奈美とともに、ヤマタノオロチへ向かっていく。丁度ウィザードの隣に着地した美炎も合わせて三人で、同時にヤマタノオロチへ飛び掛かった。
『フレイム スラッシュストライク』
「太阿之剣!」
「神居!」
三つの赤い斬撃。それは混じり合い、より大きな刃となった。
だが、ヤマタノオロチもそれを黙って受けるはずがない。炎と風の光線が放たれ、三本の軌跡へ応戦していく。風に煽られた炎の威力は何倍にも跳ね上がり、三人の攻撃ごとウィザードたちを飲み込んでいった。
「いけない! 二人とも、俺の後ろに!」
「うん! 美炎ちゃん!」
「うわっ!」
ウィザードの
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