大荒魂
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なく美炎の体を駆け巡り。
「があああああああああああああああああああああっ!」
美炎は断末魔に近い叫び声を上げ。
トレギアの姿ごと、爆発に飲まれていった。
「美炎……ちゃん? 美炎ちゃん!」
起き上がった可奈美が叫ぶ。
だが、すでに美炎の姿は爆炎の中に見えなくなっていった。
「そんな……」
力なく膝をつく可奈美。ウィザードは顔を俯かせるが。
「……美炎ちゃん?」
可奈美のその声に、一縷の望みを見出す。見てみれば、美炎のシルエットが、どんどん近づいてきているところだった。
だが。
「待って可奈美ちゃん! 何か、おかしい」
煙の中をじりじりと焼き尽くす音。
いや。
「あれは……美炎ちゃんなの?」
そのシルエットが、あきらかに美炎とは違う。
だんだんと体の輪郭が変わっていくそれ。やがて煙の中から現れたのは。
「……っ!?」
顔は、美炎。間違いない。
だが、その姿は……。
さっきまで、可奈美と同じ美濃関学院の制服ではなく、白い和服を着崩した姿。その四肢は漆黒に染まり、その爪は獣のように伸びている。赤く染まった髪には、赤い無数の目が輝いている。そして、その額には漆黒の装飾と、鬼のような角が生えていた。
「違う……あれは、美炎ちゃんじゃない!」
そういうが速いが、ウィザードは可奈美の襟を掴み、飛びのく。
同時に、美炎の紅蓮の刃が、可奈美がいた場所を切り裂き、崩壊させた。
「美炎ちゃん!?」
驚く可奈美。
そして、現れた美炎だったもの。
「あれ? 避けちゃった?」
その声色は、ほとんど日常で使われるものだった。
だが、それを発する美炎の顔は普通ではない。獲物を見定める肉食獣のように、ギラギラとした眼差しでウィザードと可奈美を見つめている。
「もう、避けないでよ。可奈美、ハルトさん。それじゃあ……斬れないじゃん」
「美炎ちゃん?」
「トレギア……何をした!?」
その答えは分かっている。だが、それでも否定したかった。
ウィザードはその心を抑えながら、トレギアへ怒鳴る。
トレギアはケラケラと笑い出す。
「仲間だの絆だの、こうすれば簡単に壊れる。なあ?」
「質問に答えろ!」
ウィザードはソードガンを発砲する。
だが、トレギアは銃弾を全てあっさりと回避した。
「君も何となく気付いているんじゃないのかい? ハルト君」
トレギアはウィザードに背を向け、背中を曲げる。ウィザードを見上げるほどに背中を曲げ、顎を上に向ける形となった。
「彼女はね。体の中に、荒魂を飼っているんだよ。驚いたね」
「荒魂……!? 美炎ちゃんの体に!?」
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