大荒魂
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
背後で、可奈美が美炎の腕を引き寄せている。
その間に、ウィザードは防御札の魔法を切る。
『ディフェンド プリーズ』
赤い炎の魔法陣が出現し、ウィザードはそれを前面に突き出す。同時に、炎の熱量が魔法陣を貫通して伝わって来た。
「ぐっ……!」
「ハルトさん!」
「大丈夫……!」
右手で魔法陣を支えながら、ウィザードは左手でサファイアの指輪を掴み取る。
『ウォーター プリーズ』
より大きな魔法陣が、ウィザードと防御魔法陣の色を変えていく。水となったウィザードは、さらに手にしたウィザーソードガンにサファイアの指輪を読み込ませる。
『ウォーター シューティングストライク』
水の必殺技の一角。それが発動すると同時に、防御の魔法陣が解かれた。
「はああああああああああああああああああああっ!」
だが、ウィザードたちを焼き尽くそうとする炎は、すぐさまウィザーソードガンより放たれた水流に押し流される。だが、それはほんの一瞬。風により助長された炎は、魔力を混ぜ込んだ水流を一気に蒸発させ、そのままウィザード、可奈美、美炎の体へ迫る。
「ダメかっ!」
「まだだよ!」
今にも迫ろうとする、炎の波。
だがその前に、美炎の背中が飛び込んできた。
「美炎ちゃん!」
「ここまで威力を下げてくれたならもう大丈夫! 行くよ清光……これがわたしたちの全力!」
美炎は加州清光を、炎の波に突き立てる。
すると、炎は渦を巻きながら、美炎の剣に吸収されていく。
だが。
「……うっ!」
着地したウィザードと可奈美は、呻き声を上げる美炎を見上げた。
だんだん美炎に吸い込まれていく炎の量が増えれば増えるほど、美炎の目、髪、体の写シが赤くなっていく。
「ぐ……あっ……!」
「これは……!?」
「美炎ちゃん!?」
やがて、全ての炎を吸収した美炎は、そのまま力なく着地した。可奈美は彼女の背中をさすりながら、恐る恐る尋ねる。
「美炎ちゃん、これは一体……?」
「えへへ……何か、出来ちゃった」
「出来ちゃったって……」
「へえ、これは驚いたな」
突然降って来た、新たな者の声。それに、ウィザードと可奈美はぎょっとし、さらに背後のブライはマスクの下で表情を歪めた。
「トレギア……!」
この事態のあらゆる元凶、トレギア。闇の仮面の奥より赤い眼差しが、地下空洞の入り口からウィザードたちを見つめていた。
「やあ」
「キサマッ!」
気さくなに手を上げたトレギアへ、ブライが斬りかかる。ラプラスソードをよけ、その腕を受け止めたトレギアは、ぐいっと彼へ顔を近づけた。
「おいおい。少しは私にも喋らせてくれよ。それとも、セイバーのマスタ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ