外伝 夕張編 01 平賀の妄執
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・・あんな光景を見たら、誰だっておかしくなるさ・・・」
「・・・大丈夫です・・・それより・・・・」
「・・・ああ・・・そうだな・・・」
先程の夕張の様子を見て、流石に提督と明石は確信した
《夕張はまた何かやらかす》・・・・と
翌日から、夕張は工廠への立ち入りを禁止された。それだけではない。夕張の元へ、配置転換の通知が届く。行き先は、はるか南方の・・・それも鎮守府ですらない・・・・第二海上護衛隊への転属命令であった
強襲揚陸艦を拠点とする同隊は、当然の事ながら、工廠のような充実した設備はない。夕張が何かやらかそうとしても、物理的に極めて困難な環境であった
要するに、夕張の技術屋としての人生は、ここで一度《詰んだ》のである・・・が、
「・・・そう来たか。まぁ・・・想定外というわけでもないんだけどね・・・・」
日本を離れ、遙か遠方の第二海上護衛隊に移ってからの夕張は、工廠と言うにはあまりにお粗末な施設を任され、主に海防艦たちの面倒を見ていた。こんな僻地に左遷されて、さぞかし暇を持て余すであろうと思っていたが、なかなかどうして、結構忙しい日々を過ごしていた
しかも所属艦娘の大半が海防艦とあっては、損耗率も激しく、ひっきりなしに修理に戻ってくるので休む間もない程であった。艦娘も、夕張を入れて10人しかいなかったため、修理ドックの前に全員集合した時点で、作戦行動が中止になる有様であった
夕張にとって、あの時何故自分は死ななかったのか・・・その一点が、技術屋として探求すべきテーマとなっていた。だが、日々の業務に忙殺され、その考察は一時棚上げせざるを得なかった
だが、そこは生まれ持っての兵装実験軽巡夕張である。そのような状況になったらなったで、今現在直面する問題を放置出来ない性分でもあった
「ドックが一基じゃ回せないのは、提督もわかってるわよね? どうして何もしないワケ?」
「そんな事はわかっている! 予算がないんだ! あと資材もな!」
「こんな自転車操業みたいな体制で最前線とか、息切れするに決まってるじゃない! あの子達がかわいそうだと思わないワケ?」
正直、海防艦がどうなろうが知った事ではない夕張であったが、心にもない事を言って、提督の良心を揺さぶろうとしていた
「じゃ、どうしろっていうんだ? どうにもならないだろう!」
「・・・あなた、海上護衛隊の提督、向いてないんじゃない?」
「・・・なっ!、貴様! 流石にその言い様は看過できないぞ!」
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