暁 〜小説投稿サイト〜
俺、ツインテールになります。外伝〜追憶のテイルチェイサー〜
Episode1 「起動」
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と、いうのは?」
私の問いに対して、トゥアールは笑顔でこう答えた。
「あなたの名前ですよ。今日からあなたは……私の家族です。よろしくお願いしますね、シルファ」
「………シル…ファ……」
自分で、自分に与えられた名称を復唱する。
「わかりました。私はシルファ、ですね。マスター」
「ああ、それとシルファ…マスターって呼び方は辞めてくれますか?」
「……何故です?」
しばらく考えたが、その意図が理解できず、聞き返す。
私はこの人の制作物だ。なら、マスターとか、クライアントとか呼ぶのが当然ではないのか?
「私とあなたは……家族なんですから。私のことは気軽に、トゥアールと呼んでください」
家族だから。トゥアールはそう言った。
理解……する事は出来なかった。
家族とは、人間が有する社会関係のひとつで、主に血の繋がりを表す言葉だ。
造られた存在、機械の私を“家族”と呼ぶ彼女の心理が、私には理解できない。
何故この人はそんな事を言ったのだろうか?
でも……悪い気はしなかった。そうだ、私はまだ完成したばかりだ。
これから彼女と過ごすうちに、沢山の知識を学べるはずだ。この言葉の意味も、そのうち理解していけるようになるだろう。
「わかりました。これからよろしくお願いしますね、トゥアール」
私が名前を呼ぶと、トゥアールはとても嬉しそうな表情で微笑んだ。
これが、私の
起動し
(
うまれ
)
た日。私にとって、とても大事な……最初の記憶になった。
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