暁 〜小説投稿サイト〜
俺、ツインテールになります。外伝〜追憶のテイルチェイサー〜
Episode1 「起動」
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
と、いうのは?」

 私の問いに対して、トゥアールは笑顔でこう答えた。

「あなたの名前ですよ。今日からあなたは……私の家族です。よろしくお願いしますね、シルファ」
「………シル…ファ……」

 自分で、自分に与えられた名称を復唱する。

「わかりました。私はシルファ、ですね。マスター」
「ああ、それとシルファ…マスターって呼び方は辞めてくれますか?」
「……何故です?」

 しばらく考えたが、その意図が理解できず、聞き返す。

 私はこの人の制作物だ。なら、マスターとか、クライアントとか呼ぶのが当然ではないのか?

「私とあなたは……家族なんですから。私のことは気軽に、トゥアールと呼んでください」

 家族だから。トゥアールはそう言った。

 理解……する事は出来なかった。
 家族とは、人間が有する社会関係のひとつで、主に血の繋がりを表す言葉だ。

 造られた存在、機械の私を“家族”と呼ぶ彼女の心理が、私には理解できない。
 何故この人はそんな事を言ったのだろうか?

 でも……悪い気はしなかった。そうだ、私はまだ完成したばかりだ。
 これから彼女と過ごすうちに、沢山の知識を学べるはずだ。この言葉の意味も、そのうち理解していけるようになるだろう。

「わかりました。これからよろしくお願いしますね、トゥアール」

 私が名前を呼ぶと、トゥアールはとても嬉しそうな表情で微笑んだ。
 これが、私の起動し(うまれ)た日。私にとって、とても大事な……最初の記憶になった。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ