魔王 ヤマタノオロチ
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口から炎を吐きながら起き上がった。
「あれが本当のヤマタノオロチ……! 今度は四本なんかじゃない、八本の完全体……!」
ヤマタノオロチは、その八対の目で、二人の刀使を見下ろす。
そして。
灼熱の炎。
黄昏の闇。
怒涛の波。
光来の雷。
溶解の毒。
暴圧の風。
衝撃の地。
閃烈の光。
八つの属性が、それぞれの口から放たれる。
それは、地下の土壌を次々に破壊していく。
衝撃を受けた地下世界は、どんどん落石が酷くなっていく。
「美炎ちゃん! コヒメちゃんも助けなきゃだけど、ヤマタノオロチをここから出すわけにはいかない!」
「分かってる!」
あくまで冷静。
美炎は、自らにそう言い聞かせているようだった。
彼女はことあるごとに首を振っており、ヤマタノオロチの猛攻を避けながら本体へ接近していく。
「だあああああああああっ!」
烈火を纏う、刀一閃。だが、その巨大な肉体に、美炎が大きな火力を発揮したとしてもダメージは期待できない。
「返せ……」
八本のうち一つの頭に飛び乗った美炎は、加州清光をその頭に突き立てる。
「返せ……!」
だが、岩石のように反射するその皮膚に、美炎の目がどんどん赤くなっていった。
「コヒメを、返せ!」
だが、ヤマタノオロチはその頭を振り、美炎を振り落とす。
さらに、うち一つの口より吐かれた炎が、空中に投げ出された美炎を包み込んだ。
「があああああああああっ!」
美炎が悲鳴とともに、岩盤まで打ち付けられる。
「がはっ!」
「美炎ちゃん!」
吐血してぐったりと力が抜ける美炎。
さらに、ヤマタノオロチの残り七つの口より、トドメを刺そうとそれぞれの攻撃が放たれる。
可奈美は美炎の盾になるように立ちはだかる。さらに、その霊体の体を深紅に染め上げ、千鳥の刀身をより濃くしていく。
「太阿之剣!」
可奈美にとっての最大の力を持つ技。
だが、大荒魂たるヤマタノオロチ。その、七つの攻撃を同時に抑えることなど不可能だった。
可奈美の全身を痛みが遅い、その姿は爆発に包まれていった。
門をくぐって、しばらく時間が経過している。
敵同士であるウィザードとブライは、一言も言葉を交わすことなく地下世界を進んでいた。
ウィザードは進みながらも、様々な疑問が胸中に抱えていた。
ヤマタノオロチは、結局何者なのか。
この門は、ムーが作ったのか。
だが、ブライは何一つ答えてくれることはないだろう。彼はあくまでブライの敵。今回協力してくれるのは、ヤマタノオロチという共通の敵がいるからに他ならない。
そして。
「っ!」
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