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ドリトル先生とめでたい幽霊
第三幕その十二

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「不平不満を感じるか」
「感じないよね」
「そんな暇ないよね」
「先生の場合学問をしてね」
「食べて飲んでいたら」
「もうそれでね」
「ないよ」
 不平不満を感じることはというのです。
「全くね」
「そうだよね」
「先生はそうだよね」
「まず学問をして」
「それでだね」
「飲んで食べていたら」
「そして皆がいてくれたら」
 それでというのです。
「もうね」
「そうだよね」
「先生はね」
「僕達も一緒にいたら」
「トミーも王子も」
「それで」
「これ以上はないまでに」 
 まさにというのです。
「幸せだよ、これ以上求めることはね」
「あっていいよ」
「いつも言うけれど」
「僕達はそう思うよ」
「先生も織田作さんの作品の登場人物みたいにね」
「少しでも恋愛出来たらね」
「お話聞いてたらその要素もあるみたいだし」
 皆はこのことも言いました。
「夫婦善哉は不倫でもね」
「旦那さんがだらしなくても」
「恋愛関係はあったみたいだし」
「夫婦ではあったみたいだし」
「それじゃあね」
「あの人の作品にも恋愛はあったね」
「あったよ、市井の人達の恋愛でね」
 大阪の中でのそれだというのです。
「武者小路実篤や三島由紀夫みたいに主題になることは少ないしきらきらしたね」
「少女漫画みたいな?」
「もうそれが全面に出たみたいな」
「愛こそ全てとか」
「そういうのじゃないのね」
「そうではないけれど」
 それでもというのです。
「恋愛の要素もあるよ」
「そうした恋愛が出来れば」
「先生がそれを望めばね」
「ぼっと幸せになれるよ」
「絶対にね」
「いやいや、僕はもう充分過ぎる程幸せだよ」
 不平不満は言わないですがそれでもです。
 先生は本当にそれ以上のものは求めないのでした、周りは気付いていてあれこれ言ってもそうなのでした。
 そして串カツとビールの後で、でした。皆で神戸まで電車で戻りました。ですが神戸でも織田作之助さんについて学ぶのでした。
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