脱出劇
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第三者side
船の甲板で風に打たれている赤髪の青年と黒装束の人物。彼らは目的を終えたこととある情報が入ったことで自分たちの国への帰路へと着いていた。
「しっかし、シリルたちが天使と遭遇してるとは予定外だな」
「その割には楽しそうだな」
危機的状況にも関わらずそれを嬉々として話すカミューニ。なぜ彼がそのような反応を見せているかが彼には理解できなかった。
「そりゃあ楽しくもなるさ・・・まさかここまで読みが外れるとはな」
彼が嬉々としているのは本当の感情を押し殺すためのブラフに過ぎない。本心は苛立ちと不安で押し潰されそうだが、それを言っても意味がないことを彼は理解しているのだ。
「ならなぜ俺たちが向かわない?」
「何日かかると思ってんだよ!!着く頃にはあいつら死んでるわ!!」
船での移動は莫大な時間を擁する。そのため彼らが向かおうにも間に合うわけがないため、仕方なく予定通りの帰路についているというわけだ。
「あいつに連れていってもらえばよかっただろう?」
「それをやると後々面倒なことになるからな。今はその時じゃない」
対策はあったがあえて今回はそれをしなかった。しかし、それでは手遅れになることすら容易に想像できる。
「今のあいつらでは勝てないんじゃなかったのか?」
「あぁ。それなのに今回の遭遇は誤算だ」
レオンの不調の件は彼の耳にも当然ながら入っている。だからこそ今後のためとシリルと共に行動できるように仕向けたにも関わらず、それを無にされようとしている。
「どうするつもりだ?」
「時間稼ぎにしかならないが、隣国に頼れそうな三人組がいるんだとよ」
「三人組?」
「あぁ、ベストではないがベターな三人だ」
どの三人のことか興味がないのか、彼はそれ以上追求してくることはない。だが、カミューニは不満気に言葉を漏らす。
「できればラクサスかカグラ辺りに行ってほしかったけどな」
「そんな強かったか?」
「ラクサスなら雷神衆、カグラならミリアーナとソフィアが付いてくるからな」
「結局数の問題か」
「仕方ねぇだろ!!今対抗できるとすれば俺とお前くらいのもんなんだから!!」
「お前そんなに強かったか?」
「俺だって強くなってんだよ!!」
カッとした表情で彼を睨み付けるカミューニ。それに黒装束の男は大した反応を示さない。
「その三人がいれば倒せるのか?」
「いや、そりゃあ無理だろ」
ケロッと答える彼に目を細める。その目に殺意を感じたのか、カミューニは慌てて彼を制止する。
「倒せないのは事実だ。だが、あいつらならシリルたちを連れて一時待避はできる」
「待避して解決できる問題でもないだろう」
「それがそうでもないんだよ」
彼が何を言いたいのかわ
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