説教タイム 遠坂凛の場合
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「遠坂凛の説得ですが、彼女が持つ情報に齟齬がある事を彼女自身が気づいていない事が問題なのです」
冬木に送った際の遠坂凛の会話を聞いていたアンジェラの一言が遠坂凛の置かれている現状を端的に示していた。
「聖杯戦争の妨害をすると魔術協会と聖堂教会が黙っていないわよ」
「なるほど。その二勢力はこの国において殺人を行使できる法権力を持っているのかい?お嬢ちゃん?」
優等生であるというデータは既に得ていたからこそ、高校社会科の常識でまずは崩してゆく。
言われてみれば当たり前のロジックなのだが、魔術師たらんとしていた彼女は咲村警部のロジックエラーに答えられない。
「この国の主権はこの国の国民のものだ。
少なくとも建前ではそうなっている。
改めて聞くぞ。
魔術協会と聖堂協会は何の権利があって日本国民を殺すんだ?」
「そ、それは……」
答えられるわけがない。
魔術師というものに絶対の存在をおいてその集まりである魔術協会を目指そうとする彼女は、そのあり方をこう語ったという。
「魔術師は過去へ向けて逆走するようなもの」
と。
現在社会において反逆するからこそ、暗躍するというか暗躍しかできない。
そのくせ、財産持ちの裕福層という矛盾がこうやって露呈する。
「……」
「だんまりか。
まあいい。
そのまま聞いてろ。
お嬢ちゃんが言ったその二つの組織が、殺人の隠蔽を行うとしよう。
で、お嬢ちゃんは自らの手で妹さんを殺すのかい?」
「っ!?」
考えたくなかった事を咲村警部に突きつけられて遠坂凛は明らかに動揺する。
養子なんてものは当然法的手続きが必要なわけで、聖杯戦争候補者についてはその法的資料から調査に入ったのだ。
まるで探偵に犯人と突きつけられたような顔で、咲村警部は続きを口にした。
「来てもらった間桐慎二くんが話してくれたよ。
妹さん、魔術師として衰えた間桐家に養子に送られたそうだね。
聖杯戦争が発生した時に御三家として参加するのならば、彼女は参加する可能性が高い。
それでも君は参加して、妹さんを殺すのかい?」
「……」
顔は汗まみれ、涙すら浮かべかねない顔で遠坂凛は我慢する。
なまじ現代社会で優等生なんていい顔をするから、こういう所のロジックエラーに耐えられないのだ。
「まるでこっちが悪者みたいじゃないか。
まぁ、いい。
これを教えてやれって言われたから、読んでけ」
咲村警部が英語て書かれたレポートを遠坂凛の前に置く。
米軍が書いたアトラム・ガリアスタ撃墜の報告書。
彼はテロリストとして米軍に飛行機ごと撃墜されたという事実にレポートを読む遠坂凛の手が震える。
「改めて聞くぞ。お
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ