第二章
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「楽しくだ」
「それに加わられますね」
「私は農民の出だ」
自分の生まれのことも話した。
「それならな」
「身分はですか」
「こだわることはない」
「一切ですね」
「そうだ」
強い声で言い切った。
「どんなものでもたらふく食べ」
「飲めればですね」
「いい、酒も好きだし」
「甘いものもですね」
「好きだ、妻も遊びは許してくれている」
このこともあってというのだ。
「だからな」
「楽しくですか」
「誰とも遊ぶ、勿論貴方ともだ」
「ではです」
ここまで聞いてだった、伯爵はラスプーチンに申し出た。
「私の知り合いをです」
「貴方も階級に関係なくお付き合いをされている」
「はい、貴族だけでなく」
自分と同じくというのだ。
「平民出身の名士と言われる人達とも」
「そうであられるな」
「人民の中にと言われましたが」
十九世紀にあったナロードニキ運動の話もした、人民の中に入り人民を知り人民を啓蒙しロシアを思想面からも発展させ社会を改善させようという考えだ。
「私としては」
「それが正しいと考えておられるな」
「ですから」
それ故にというのだ。
「その様にです」
「されていくおつもりだな」
「これからも」
「それでは」
「はい、今度ですね」
「貴方のお招きに応じさせて頂く」
ラスプーチンは笑顔で応えた、そうしてだった。
日時の話もして伯爵とその日はこれといって何もない世間話をした。そしてその宴の日であった。伯爵は家の者達に話した。
「今日はラスプーチン氏も来られる」
「はい、以前お話されていましたが」
「あの方も来られますね」
「他の方と共に」
「そうされますね」
「鷹揚で気さくな方だがそれだけに失礼のない様に」
ラスプーチンの本質も話した。
「それはいいな」
「わかりました、ただ」
家の執事がここで言ってきた。
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