第9話 節目と新たな関係
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私達は共に、人ならざる者。不老不死として、永遠の時を生きる者。
そんな私達が交わすこの指輪もまた同じ。
『永遠の契りを結ぶ指輪』
別に今までと劇的に関係が変わる訳ではない。
それでも改めての、そして永遠の契り。永遠の愛。ずっと共に在ることの誓い。
彼女もそれを理解している。瞳を揺らしながら、口を開く。
「いい・・・のか?」
この10年で成長した彼女。
背格好や雰囲気、口調も随分大人びた。
それでも、わずかに低い視線から、上目遣いで問いかける様は、幼い頃から変わらない。
そんな彼女に微笑みを浮かべる。
それに、そもそもそんな問いの答えなど、10年前の、初めて出会ったあの時から決まっている。
「あなただからよ。あなただからこそ、私は共に生き、歩んでいきたいの」
私の言葉に目を見開くエヴァ。
「愛し合う義理の姉妹として。そして恋人として、これからも2人で一緒に」
私の言葉を噛みしめたエヴァは、やがておずおずと笑みを浮かべる。
右手に持った箱を私の方に向け、左手を差し出す。
私は箱から指輪を取り出すと、そっとエヴァの左手の薬指に嵌める。
そして嵌め終えた指輪にそっと口づけ。
手を離すと、エヴァはわずかに体を震わせながら、左手をギュッと抱きしめる。
数秒間、心に刻むように自分の手を抱きしめると、右手に持ったままの箱をポケットにしまい、指輪の嵌めた左手を私に差しだす。
私は何も言わず、左のポケットから同じような箱を取り出し、エヴァに渡す。
エヴァはそれを受け取り、真正面から私を見つめ、右手にそれを渡す。
「これを・・・受け取って欲しい」
「えぇ・・・喜んで」
開かれた箱には1つの指輪。
装飾は『E to S』(エヴァンジェリンからシルヴィアへ)の文字だけ。
エヴァはその指輪を取り出すと、私の左手の薬指にそっと嵌める。
そうして指輪に口づけ。
永遠の契りを結んだ私達は、見つめ合う。
そうして、動いたのはどちらだったのか。
2人は抱きしめ合い、唇を重ねる。
頬を伝う二筋の涙を感じながら、愛を、想いを、喜びを交わし合う。
夕日の差し込む広間、2つの影は1つに重なり合い、離れることは無かった。
あれから少し経った。
夕日の加減からそれほど時間は経っていない、それでも私達にとっては、永遠とも刹那とも言える大切な時間。
それを終えた私達は、エヴァの願いによって再びここに立っている。
2つの墓、エヴァの義理の両親が眠る場所。
(エヴァンジェリンの義姉兼恋人をやらせて頂いています、シルヴィア・マクダウ
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