第二章
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ここでだ、周りの者にこうも言われた。
「地下人も見よ」
「おお、落ち着いておられる」
「あの様なことをされても取り乱しておられぬ」
「人に冠を取ってもらい」
「そしてまた被られた」
「実によい振る舞いですな」
「全て見た」
確かな声でだ、帝は言われた。
「中将も地下人も」
「ですな、中将殿の悪いところが出ました」
「あの気性の激しさが」
「これは殿上人の振る舞いどころかです」
「人としてもどうかというものです」
「そして地下人はどうか」
対する行成はというのだ。
「見たな」
「はい、確かに」
「始終落ち着いておられます」
「冷静で実に落ち着いた振る舞いです」
「素晴らしいものでした」
「地下人のままではならぬな」
帝は確かな顔のまま言われた。
「すぐに蔵人頭に任じよう」
「何と、蔵人頭ですか」
「あの役職に就けますか」
「そうしますか」
「その様にする、そして中将は頭を冷やさせる」
そうするというのだ。
「陸奥守にしよう」
「何と、陸奥ですか」
「あの僻地にやりますか」
「そうしますか」
「そなた達の言う通り殿上人どころか人の振る舞いとしてもならぬ」
帝は怒って言われた。
「だからな」
「それで、ですか」
「中将殿にはそうされますか」
「そうして頭を冷やさせますか」
「そうする」
こう言われてだった。
帝はその様にされた、誰もが始終見てそのうえで断を下された帝の裁量に唸ると共に実方の振る舞いと行成の落ち着きに感銘を受けた、そして。
数年語実方は左遷された陸奥で亡くなり行成は宮中でその働きと真面目さが称賛された。だがそれでも。
ある日皇居にあるものが表れた、それはというと。
「雀!?」
「また多いな」
「何だこの雀は」
「急に出て来たが」
「何なのだ」
あまりにも多さの雀に驚いた、そして。
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