第三章
[8]前話
「皆もヤマを見習うんや、朝から練習する様なな」
「そうしてですね」
「力つけて」
「試合にも勝てる様にしますね」
「その日調子悪うても能力は上がる」
練習した分だけだというのだ。
「そやからな」
「それで、ですね」
「ヤマを見習って」
「それで練習することですね」
「そや、毎日な」
こう言うのだった、西本は山田を真顔で褒めたが。
話を聞いていた山田は心の中で苦笑いになっていた、そして現役生活を退いてからこのことを話した。
「実はあの時はな」
「そうだったんですか」
「ほんま雨になると思ってたら」
「晴れて」
「それでな」
そのうえでとだ、インタヴューをする者に話した。
「もうどないしよかと思って」
「兎に角お酒を抜こうと」
「さもないと投げられんからな」
「もう二日酔いで投げられないとか」
「監督にどれだけ怒られるか」
その西本にというのだ。
「考えるまでもなかったからな」
「西本さん凄かったですからね」
「近鉄の時に羽田殴った話有名だけれどな」
阪急の監督の後近鉄の監督になった時の話だ、奇しくも西本がこの時戦ったのは阪急であり山田もよく知っている話だった。
「阪急の時も凄くて」
「鉄拳制裁がですね」
「凄かったんだよ、もう怒られるのわかっていたから」
「お酒を抜こうとですね」
「走ったんだよ、けれどそれがな」
二日酔い解消の為にそうしたがというのだ。
「監督に見られていて」
「監督はお酒のことをご存知なくて」
「よかったよ、ただもうな」
「その時からですね」
「酒は飲むにしても」
それでもとだ、山田は笑って話した。
「気をつけてるんだよ」
「二度とそうしたことがない様にですね」
「今もな、大変だったからな」
あの時のことを思えばというのだ。
「そうしているんだよ」
「二日酔いで投げることはですね」
「その前に酒抜くのも大変で本当に晴れていて焦ったからな」
「そうなんですね」
「ああ、もう二度と御免だよ」
山田はその時の自分を想いだしながら笑って話した、現役を退いたからこそ彼は笑っていた。あの時は酔いながらも本当に必死であったが。今の彼はそうだった。
二日酔いで 完
２０２１・９・１６
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除