第二章
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「それで家の仕事のこともな」
「ビルのこととかも」
「大学出てすぐやが」
家元の修行やビルの経営等に携わったがというのだ。
「そういったことはお前に任せられるが」
「茶器の目利きはですか」
「亜久里はもうな」
それこそというのだ。
「天分の才や」
「そうですか」
「もうそこは亜久里が見た通りにな」
「茶器を買っていくとええですか」
「そちらはな、もうそこはな」
「亜久里の言う通りにして」
「やっていくことや、お前達の両親の後は」
その後はというのだ。
「お前が家をやって亜久里が茶器を見る」
「そうしてですか」
「やってくんや、ええな」
「わかりました」
彗士だけでなく亜久里も祖父の言葉に頷いた、そうして二人は兄妹で茶道の修行にも茶器集めにも励んでいった、彗士は家の仕事にも父を助けて携わっていた。
その中でだった。
亜久里はあるティーカップのセットを買って来た、彗士はそのカップのセットを見て言った。
「紅茶飲む為にか」
「買ってきました」
「そうか、それで幾らした」
「千円で古道具屋で売っていました」
亜久里は兄に上品な笑顔で答えた。
「そうでした」
「そうか、しかしな」
「それでもですか」
「お前が見付けたもんやからな」
それ故にというのだ。
「ここはちょっと確かな鑑定士の人に見てもらうか」
「千円のセットですが」
「それでもな」
目利きの亜久里が買ってきたからだというのだ。
「そやからな、茶道の茶器やないが」
「見てもらいますか」
「そうしてもらおうか」
「それでは」
「知り合いの艦艇さんに頼んで」
そうしてというのだ。
「見てもらうで」
「わかりました」
亜久里も頷いた、こうしてだった。
二人でそのセットを持って彗士の知り合いの鑑定士のところに行った、そしてそれを見せるとだった。
鑑定士は仰天して二人に言った。
「これ古道具屋に売っていたんですか!?」
「はい、千円で」
買った亜久里が答えた。
「消費税も入れまして」
「嘘みたいです」
「嘘やないです」
亜久里は答えた。
「ほんまにです」
「千円ですか」
「それで買いました」
「あの、このセットは全部で百万円の価値はあります」
鑑定士は真顔で言った。
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