第四章
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「本当に出て行って欲しいな」
「かえってうちの評判が落ちた」
「恥だ、恥」
「もう無視しろ」
「あんな一家相手にするな」
「テレビ局にも抗議しろ」
「持ち上げるなってな」
地元の者達が最も彼等を嫌って批判した、それでさしもの一家も地元に居づらくなった。しかも試合がなくともテレビに出る度にだ。
批判や抗議が殺到しそれがスポンサーまでいき。
一家の誰かの顔が出るとテレビのチャンネルを変えるものすらいた、それを受けて玉河への批判もはじまった。
TEROテレビの中でだ、彼について言われだしていた。
「あの一家押そうって言ったの玉河さんだったな」
「玉河さんが言い出したな」
「最近あの一家出ると視聴率暴落するぞ」
「抗議も酷いし」
「スポンサーも一家の起用に難色示してるし」
「もう沢山だな」
「あの一家は出さないで」
そうしてというのだ。
「玉河さんにも責任取ってもらおう」
「暫く大人しくしてもらおう」
「うちの局の評判も落ちてるしな」
「それじゃあな」
こう話してだった。
玉河は閑職に左遷されて一家もだった。
テレビから姿を消した、それで地元にもいられなくなり。
外国でボクシングジムを開き活動する様になった、それを受けてネットの者達は喜んで話をしたのだった。
「いなくなってよかったな」
「本当にな」
「あんな連中持ち上げるな」
「子供の教育に悪いだろ」
「チンピラなんか出すな」
「何であんな連中持ち上げたんだ」
「格下の相手とばかり試合させてな」
そうしてというのだ。
「どう見てもおかしな試合ばかりで」
「八百長かっていうな」
「おまけに偏向報道で」
「嫌なもの見せられたよ」
「もう二度と日本に帰るな」
「顔も見たくない」
「あいつ等が行った国には悪いけれどな」
「地元でもな」
それでもというのだ。
「全然愛着が湧かない奴がいるんだよ」
「それも家族単位でな」
「というか誰でも柄が悪くて知性も教養も品性もないチンピラ一家誰が好きになるんだ」
「スポーツマンシップもなくて相手へのリスペクトもない」
「言葉遣いもなってない」
「そんな奴地元でも好きになれるか」
「むしろ地元の恥だ」
こう言って一家が出て行ってむしろ喜んだ、地元で彼等をよく言う者はいなかった。そして一家がどれだけ凋落しても同情する者もいなかった。それがマスコミが喧伝していた彼等のヒーローの真の姿だった。
地域の栄光 完
2021・7・14
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