第二章
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「こいつがいいな」
「適度に格下だな」
「こいつに金掴ませて負けてもらおう」
「今度は長男の試合だったな」
「それに出てもらおう」
「そうしてもらおう」
「それで試合でいい具合に負けてもらって」
そしてというのだ。
「それでな」
「盛り上げてもらうか」
「そうしてもらうか」
「今度の試合もな」
局の中でこう話してだった。
全てをセッティングしてそのうえで試合を放送した、試合の実況も完全に一家寄りであった。それは最初から最後までそうであった。
それで一家はまさにマスコミの寵児となったが。
その彼を見てだ、視聴者達は思った。
「態度悪いな」
「品性の欠片もないな」
「下品過ぎるだろ」
「言葉遣いもなってないし」
「それも兄弟全員でな」
「対戦相手へのリスペクトもなくてな」
「相手に尻向けて挑発したり」
一家の行いに眉を顰めさせる者が続出した。
「言ってることに一々知性がないんだよ」
「教養も欠片もないしな」
「それで俺達は強いだのな」
「カリスマの家系とも言って」
「敬語とか全然使わねえし」
「こいつ等どんな生活してたんだ」
「どんな育ちなんだよ」
「相当悪い育ちだな」
「下町でもな」
そう言っていい場所だがというのだ。
「この一家品性なさ過ぎだろ」
「他人の試合に乱入して挑発したり」
「本当に行いひでえな」
「ボクシングやるにもスポーツマンシップ守れ」
「これじゃあチンピラだ」
「何がカリスマの家系だよ」
「只のチンピラ一家だ」
親も兄弟三人も全員そうだというのだ。
「一家全員チンピラって何だよ」
「こんな連中テレビに出すな」
「そもそも試合格下ばかりだろ」
「判定いつもおかしいしな」
「実況もこいつ等贔屓し過ぎだろ」
「相手も公平にしろよ」
「幾ら何でも贔屓し過ぎだ」
試合のことも問題視されてきた。
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