第一章
[2]次話
地域の栄光
ある街の下町と言っていい場所に生まれ育った課目田一家は親も子供達も皆ボクシングをしている、子供達は皆ボクシングで才能を発揮し。
日本どころか世界でも知られる様になった、これを見てTEROテレビの重役である玉河融はこう言った。
「あの一家売り出さないか?」
「あのボクサー一家ですか」
「あの一家を番組で特集組んで」
「それで試合も放送しますか」
「そうしますか」
「何か視聴率取れそうだからな」
だからだというのだ。
「子供三人世界って凄いだろ」
「まあそうですね」
「凄いことは凄いですね」
「そのことは事実ですね」
「あの一家は」
「しかもだよ」
玉河はさらに言った、額は広く目は小さくかつ変に鋭い。中肉中背でありやや面長の顔がやけに目立っている。
「何かキャラも立っているしね」
「そういえばそうですね」
「あの一家妙にキャラ立ってますね」
「関西弁丸出しで」
「外見も猿みたいで印象ありますね」
「あのチンピラ風味がいいんだよ」
玉河はこうも言った。
「一見柄が悪い、しかし」
「それでもですね」
「一家は一つになって頑張っている」
「それで栄光を掴んだ」
「それがいいんですね」
「そこもいいから」
だからだというのだ。
「あの一家の特集を組んで」
「一家の試合の放送権も手に入れる」
「もう局全体でブッシュしますか」
「そうしますか」
「何なら」
玉河はここでこうも言った。
「試合の相手とかもこっちで用意して絶対にだよ」
「あの一家が勝つ様にしますか」
「局のお金も使って」
「そうもしますか」
「ヒーローは生まれるんじゃない、生み出すものなんだ」
ドス黒い笑みと共の言葉だった。
「そうじゃないか」
「我々の放送で、ですね」
「事実はどうあれ」
「テレビでヒーローと言えばヒーローですね」
「そうですね」
他のスタッフ達もドス黒かったり下卑たりしている笑みで応えた。
「そういうことですね」
「それじゃあですね」
「ここは」
「あらゆる手段を使って」
そのうえでというのだ。
「あの一家を立派なヒーローにするぞ」
「わかりました」
「それじゃあそうしましょう」
「局全体でプッシュしましょう」
「そしてです」
「そのうえで」
「視聴率にするんだ」
テレビ局にとって何よりも重要なそれにすると言ってだった。
局全体で一家へのプッシュをはじめた、美談を捏造を平然としてまで入れた特集を行って試合もだった。
放送権を独占した、その試合相手も。
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