御神木
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
た。
「や、やった……?」
「フン」
ウィザードと決して目を合わせないブライは、そのままラプラスが開けた門へ足を向けた。
「行くぞ。時間が惜しい」
「あ、ああ」
ウィザードもまたブライに続いて、門に入ろうとする。
だが。
「まだだ、異世界の武神共……!」
その声に、両者は足を止めた。
倒したはず。
だが、武神鎧武及びその御神木は、まだ健在。
至る所が未だに火の手が上がっているが、その形は未だに健在。その枝先にある蓮の花も原型を保っており、そこから、武神鎧武がこちらを睨んでいた。
「まだ我が野望は終わらぬ……!」
「お前、まだやる気か!?」
「邪魔をするなら、キサマから先に倒す」
ブライが、再びラプラスソードを振るう。
だが。
その瞬間、地の底より突き上げられるような衝撃が見滝原公園を襲った。
「何だこれは……? 一体何が起こっている?」
だが、揺れはどんどん大きくなっていく。
やがて、ウィザードやブライさえも立っていられなくなるほどの揺れ。やがて木々が薙ぎ倒され、地面も割れていく。
「ほう……これは……」
トレギアは、顎に手を当てながら頷く。
そして。
「な、何だこれは!?」
それは、武神鎧武の悲鳴。
すでにウィザード達の攻撃により満身創痍となった武神鎧武と、彼を宿すその御神木。それを捕えているのは、地面の底から現れた、長い管。
爬虫類の肌のような質感から、それはあたかもヘビのようにも思えた。ただ、その背筋には黄色の棘が生えており、怪物の質感を浮き彫りにしていた。
それは、容赦なく神樹に絡みついていく。その数は、一つや二つではない。三つ、四つ。
「放せ! 放せ!」
だが、蓮の花と一体になっている武神鎧武には抵抗する術はない。
そのままヘビは、神樹ごと武神鎧武を地の底へ引きずり込んでいった。
「放せええええええええええええ! 我こそは天下をおおおおお____
やがて、ウィザードは耳を塞ぐ。
神樹が飲み込まれたところから、耳を塞ぎたくなるような音が聞こえてきたのだ。
地下で何が起こっているのか、想像したくもない。
ただ一つ、確かなこと。
それは、武神鎧武の断末魔の悲鳴が途切れたこと。
そして。
地響きが、より酷くなったことだった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ