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絶撃の浜風
外伝 大本営編 01 暗部
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たって明確な効果が判明している艤装リンクに関する法整備を進めた。人から覚醒した艦娘が、必ずしも軍務に適しているとは限らない。もしも軍に、人に仇なす要因が認められた場合、提督権限を以てして艤装の付与を拒否できる事とした

 覚醒した艦娘が身体検査の他に、面接で人格面を精査されるのはこのためである。人間性に問題がなく、軍務に適応可能と判断された艦娘には、当該鎮守府の提督権限で艤装の展開を許された


大本営はこれを【始まりの艤装展開】と命名した


 それは、当該鎮守府の提督の承認なしに、《始まりの艤装展開》を出来ないという《縛り》である



そう・・・これが、提督に付与された二つ目の《権限》であった



 ただ、これは就役前の艦娘の不穏分子を水際で排除出来るに過ぎないため、将来有望な艦娘の芽を摘んでしまうリスクも少なからずあった。現実的には、大本営側、艦娘側共に然程のメリットが見込めなかった



 それに対し、当初はあまり期待されていなかった《命令に対する若干の強制力》であるが、こちらの方が思いの他有用である事が、その後の教練などを通じ徐々に明らかとなっていた

 人とは、僅かなプレッシャーや強制力を受けると、その判断に影響を受け(勘違い程度の影響)、行動のベクトルが若干ではあるが捻じ曲げられる所がある。その僅かな《強制力》が、軍隊の統率に於いて非常に有効に機能するのである


 大本営はこの強制力に【アドミラル権限】と命名し、暗示効果を付与することによって、より強力な強制力を発揮させる事に成功する


【上官の命令は絶対である】という暗示・・・・


言うまでもないが、これが、提督に付与された三つ目の《権限》であった


斯様にして、大本営は艦娘を掌握する手段として、秘密裏に様々な実験を行い、それを実装しその権力を盤石なものにしつつあった。艦娘の一族には艦娘の保全という名目で定期的な検査が呉にて行われ、その際その体内にナノマシンを注入されていた


 艦娘たちは、知らぬ間に大本営の統制下に置かれつつあった


 無論大本営にはこれらを悪用する意図はなく、あくまでも深海棲艦との戦闘に際し、統制力を保持するのが目的であった。もう二度と、艦娘が戦場に赴く事をためらうなどという事が起こらないようにするためでもあった


 この事実は、艦娘は無論の事、一般の提督の知る所ではなかった。呉の奥深くに棲息する、大本営の極一部の幹部たちと、大本営直属の技術開発工廟の主任クラス以上だけが知る事実であった




だが、これが人の業とでも言うべきものであろうか・・・・


大本営の思惑とは裏腹に、これらの権限を悪用する提督が、ふつふつと湧き出るように各地で艦娘を蝕み始めてい
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