暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
準々決勝開幕!!
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ができると言われている」
「「「「「!?」」」」」

それを聞いた瞬間に一斉にブルペンを見る少女たち。そこで投げている左のサイドスローの背番号1は特に際立ったものを持っているようには見えなかった。

「翼星は三人の投手の継投を使ってくる。ここまでコールドはないが、失点もない。完全な守備偏重型のチームだ」

シートノックで守備の動きがいいことは確認していたが、投手力が高いことまでは把握できていなかった。しかし、このタイミングでそれを教えられたことにより彼女たちの空気はピリッとしたものになっている。

「先発は左のサイドスロー山口(ヤマグチ)。こいつはスライダーにスクリュー、スラーブ、ツーシームにナックルを使ってくる」
「ナックル?」
「爪で弾くように投げることで回転を失くし、揺れるような軌道を描きながら落ちてくるボールだよ」
「え!?ボールが揺れるの!?」

野球を始めたばかりの莉愛は初めて聞いた球種に驚きを隠せない。

「投げた時は回転しないんだけど、ミットに向かう間に縫い目に空気抵抗で風があたるから、それによってボールがブレるの。投げた本人もどこに行くかわからないから厄介だよ」
「うわぁ、無責任なボール」

瑞姫の解説を聞いた莉愛の的を射た発言に吹き出す面々。少女はなぜみんなが笑っているのかわからないといった顔をしている。

「次に出てくるのは右のアンダースローの遠藤(エンドウ)。球種はカーブにスローカーブ、シュート、シンカー、フォークボールにチェンジアップ、それに下手投げ特有のライズボールがある。三人の中で一番球種が多い」

真田は笑いを堪えながら次の投手の解説をする。まだブルペンにはいないため何とも言えないが、彼女たちの頭の中ではおおよそのイメージは出来上がっていた。

「三人目は右のオーバースローの大場(オオバ)。球種はカットボールにVスライダー、ナックルカーブ、そしてスプリットが決め球だな」

しかもこの中で一番速いと付け加える真田。高校野球でありながらプロ野球のような分業制を敷いている対戦相手には彼女たちも驚くことしかできない。

「他にも色んな球種はあるが似たようなボールが多いからな。相手チームは多種多様な球種と硬い守備力に満足な攻めをできずに破れてきたってことさ」

真剣な表情でミーティングを聞いている教え子たちを見て満足げな笑みを見せる。

「だが逆に言えばこれだけ多種多様な球種がありながら三人で継投しなければいけないとも言える。なんでだと思う?」
「なんでですか?」
「球が遅いんだよ」

それを聞いて納得した少女たち。数人わかっていない者もいたため、わかりやすいように説明する。  

「一番速い大場の最速は114km。先発の山口は107km。遠藤に至
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