第七十六話 トリスタニア増築計画
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『レビテーション』で宙に浮いた二人は、手足をジタバタしながらもがいた。
「仲良くしない子は嫌いよ」
カトレアはもう一度杖を振るい、宙に浮く二人を引き寄せるとそのまま抱きしめた。
「お義姉様!?」
「ちいねえさま離して」
「駄目よ、二人ともちゃんと仲直りして」
「ううっ」
「でも、ちいねえさま。悪いのは……」
「仲直りして、ね?」
カトレアは『めっ』と叱るように優しく促した。
「……分かりましたお義姉様。ルイズごめんね」
「うん、アンも、あんな酷い事言わないでね」
仲直りした二人を見てカトレアは、にっこり微笑んだ。
……
暫く勉強を続けた三人だったが、残念なことにカトレアに所用ができた為、勉強会は中止になった。
「わたしは用事が出来たから二人は何処かで遊んでいてね」
「分かりました。お義姉様」
「ちいねえさま、いってらっしゃい」
カトレアが去ると、手持ち無沙汰になったアンリエッタが、
「退屈ね、ねえルイズ、王宮内を探検しましょうか」
「探検て言っても、アンは王宮に住んでいるんでしょ?」
「住んでいても、私が知らない所なんていっぱいあるわ」
「そうね、ちいねえさまは帰ってこないし……」
「決まりね!」
アンリエッタはルイズの手を引っ張って部屋を飛び出すと、王宮内のとある場所へ走っていった。
広い王宮を進むアンリエッタとルイズ。
やがて二人は、王宮内の古い倉庫部屋にたどり着いた。
「ルイズ、こっちよこっち」
「ここは?」
「古い家具を置いておく倉庫みたいな部屋よ」
「古い家具ばかりで。楽しい場所じゃないわ」
「実はこの部屋。地下に繋がっている隠し扉があるの」
「地下? 地下に行ってなにするの?」
「前にお兄様の話を盗み聞きしてたら、今日は地下で何かやるらしいわ。私たちもその様子を見に行きましょう」
「え? でも危ないんじゃ……」
「なにルイズ、怖いの?」
アンリエッタの挑発に、負けん気の強いルイズは顔を真っ赤にして反論した。
「こ、怖くないもん!」
「なら大丈夫でしょ。さあ、行くわよ!」
アンリエッタは、部屋の奥にある古い暖炉の所まで行くと暖炉の中を調べ始めた。
「何やっているの?」
「確かここに……あった」
暖炉内にあったドラゴンを模した装置を動かすと『ガコン』という音と共に、大人一人潜れるほどの穴が出来た。
この穴は元々、王族などの貴人が不慮の際に王宮から逃げ出す為の秘密の抜け穴で、この古い倉庫部屋の他にも王宮には多くの脱出用の装置が隠されていた。
穴は滑り台の様になって
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