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水の国の王は転生者
第七十六話 トリスタニア増築計画
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見事にハモって応えた。

「この地図は先週までの情報を、急ぎ描かせた物にございます」

 次にグリアルモントが地図の詳細を解説した。

「この地図に描かれている箇所は、全て掃除が終わっております。万が一にもモンスターが現れる心配はございません」

「だが、描かれていない場所。これから探索する箇所はなにが現れるか分からない訳だな」

「御意」

「なるほど……さて、作戦開始を前に聞いて欲しい」

 マクシミリアンの周りには参謀達が集まっていた。

「皆は地下の探索にコマンド隊を投入するのは、大袈裟だと役不足だと思っているだろう」

 マクシミリアンはこの作戦の意義を説明しだした。

「だが、数千年前に作られたとされる地下世界に、どの様な物があるか誰にも分からない。大事を取ってのコマンド隊投入だ」

 参謀達や工兵達は黙って聞いている。

「工作隊は突入しても、コマンド隊の露払いにも油断せず任務に当たってれ。以上、長々と話さない、解散」

 参謀、工兵は同時に敬礼した。

 間もなくコマンド隊、工兵隊を投入した地下探索作戦が始まる。





                      ☆        ☆        ☆





 その頃、王宮内の図書室では王妹アンリエッタがカトレアの指導の下、勉学に励んでいた。

「アンリエッタ。何か分からない所は無い?」

「大丈夫です、お義姉様」

「それじゃ、ルイズは?」

「あの、ちぃね、あう……王妃様。ここが分かりません」

 そしてもう一人、妹のルイズもラ・ヴァリエール公爵領から泊まりで王宮に遊びに来ていた。

「前の様に、ちいねえさまで良いのよ?」

「で、でも、お父様やお母様に叱られちゃう」

「他のみんなか見てない所なら良いいでしょ? さ、呼んで」

 ルイズはモジモジしながらカトレアを見て口を開いた。

「そ、それじゃ、ちいねえさま、ここが分かりません」

「そうねルイズ。ここはね……」

 ルイズにパッと笑顔が戻り、かつての仲の良い姉妹に戻った。
 楽しそうに語らうルイズとカトレアを、アンリエッタは真面目に勉強しながらもチラチラと盗み見る。

「あら、ルイズ・フランソワーズ。まるで親に甘える小鹿見たいね」

「なな、何ですってぇ〜!?」

 成長したとはいえ、根っこは変わらないアンリエッタ。
 ルイズへの暴言で、たちまち二人はケンカを始めた。

「このっ! このっ!」

「バカッ! アンタなんて嫌いよ!」

 お互い、爪で引っ掻き合うルイズとアンリエッタに、カトレアは『あらあら』と言って杖を振るった。

「えっ?」

「ちいねえさま!?」
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