第七十六話 トリスタニア増築計画
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デヴィットさんだ。新世界の時と同じメンバーだな」
「アニエス、お前はヒューゴと違って見所がある」
「ジャックさぁん、なんスかそれ!?」
「ジャックさん。今度の休みの日、私の射撃を見て下さい」
「良いだろう。指導してやる」
「ありがとうございます」
「無視は酷いと思うな」
アニエスの分隊は来るべき作戦開始の日に向けて猛訓練に入った。
マクシミリアンが即位してから一年。アニエスは射撃の名手のジャックに銃の鍛錬を、場違いな工芸品の整備に秀でたヒューゴには整備の整備の鍛錬をそれぞれ仕込まれ、コマンド隊内で、メキメキと頭角を現し始めていた。
アニエスの胸元にはピンク色の貝殻がネックレスの様に首から下げられ、懐にはマクシミリアンから貰った『FN ブローニングハイパワー』が収められていて、片時も手放す事はなかった。
☆ ☆ ☆
一週間後、トリスタニア地下世界探索作戦が発動された。
新宮殿内の設けられた司令室には、国王マクシミリアンの姿があった。
「作戦開始前に、諸君には通信用のウォーター・ビットを持って行ってもらう」
「報告書を読んで知りましたが、これが魔法の革命と言われる『ウォーター・ビット』ですか」
ド・ラ・レイは『ウォーター・ビット』が入った水筒を覗き込み言った。
「魔力の消費を節約する為に、各分隊ごとに僕のウォーター・ビットを水筒に入れて持ち運びするように」
「かしこまりました陛下」
「うん、頼んだぞ」
ド・ラ・レイが敬礼をすると、部下数人に56個のウォーター・ビット入りの水筒を持たせて司令室を退室した。
18歳になったマクシミリアンはウォーター・ビットを64基同時に展開できるようになり、司令室に8基を置き、後の全てをコマンド隊に提供した。
新世界で実験的に運用されたウォーター・ビットによるGPSのような魔法と通信法は、今回の探索で地下世界のマッピングと個々の通信に活躍が期待されていた。
ド・ラ・レイが去った司令室には、参謀陣が協議をしていてその中でジェミニ兄弟が二人でなにやら話し合っていた。他には工兵将校のグリアルモントが部下達と共にウォーター・ビット入りの水筒を覗き込んでいる。
グリアルモントは地下捜索計画の最終段階である、地下の地盤固めの為にコマンド隊が突入した後、工作隊を伴って地下に入る予定だった。
「国王陛下」
「こちらをご覧下さい」
ジェミニ兄弟は五メイル以上もある巨大な紙を司令室中央の大きな机の上に広げた。
「地下世界の地図だな」
『その通りにございます』
ジェミニ兄弟は
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