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ドリトル先生とめでたい幽霊
第三幕その五

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「織田作之助さんは」
「そうですか」
「じゃあ次の場所にね」
「行くんですね」
「そうしよう」
 こう言ってでした、今度は。
 上本町のお寺が沢山集まっている場所に来ました、ここで先生は皆に対して笑顔でこうお話しました。
「ここも秀吉さんが関わっているんだ」
「ここでもだね」
「何ていうか大阪は秀吉さんだね」
「あの人がお城築いてからだし」
「ここでもなんだ」
「あの人が関わっているんだ」
「秀吉さんがここに大坂のお寺を集めたんだ」
 そうしたというのです。
「一纏めにして治めやすい様にね」
「当時お寺は政治にも関わっていたしね」
「何かとね」
「本願寺なんてあったし」
「それでだね」
「ここに集めたんだね」
「そうしたからね」
 その為にというのです。
「ここにお寺が集まっているんだ」
「成程ね」
「他の場所にない位にお寺が集まってるけれど」
「秀吉さんの頃からなんだ」
「じゃあ織田作之助さんの頃からも」
「同じだよ」
 その頃からというのです。
「やっぱりね」
「そうだね」
「そういうことだね」
「ここにも織田作之助さんがいたかも知れないんだね」
「そうなんだね」
「そうかもね」
 先生も否定しませんでした。
「少なくともここを歩いたことはあっただろうね」
「この辺りに生まれた人だしね」
「近くに通っていた学校もあったし」
「それじゃあね」
「ここにもよね」
「そうかもね、そして」
 ここで、でした。先生は。
 そのお寺の中の一つの前で足を止めました。そのお寺は。
 楞厳寺とあります、先生はそのお寺の前で皆に言いました。
「ここは織田作之助さんにとっては絶対に避けて通れない場所だよ」
「そのお寺が?」
「そうなの」
「普通のお寺だね」
「ここも織田作之助さんに縁があるんだ」
「それも絶対に」
「うん、じゃあ今から中に入ろう」
 こう言ってでした。
 先生は皆をそのお寺の中に案内しました。そこはごく普通のお庭の様な境内でしたがその中に一つ大きな碑の様な墓石がありました。
 そのお墓の前で先生は皆に言うのでした。
「織田作之助さんのお墓だよ」
「へえ、ここがなんだ」
「織田作之助さんのお墓なんだ」
「そういえば大阪にお墓あるって言ってたね」
「大阪で眠っているって」
「それでだよ」 
 だからだというのです。
「ここにね」
「織田作之助さんは眠っているんだね」
「それで僕達をここに案内してくれたんだ」
「そうだったんだ」
「そうなんだ」
 その通りというのです。
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