女盗賊たち
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『ヴォイド』の本拠地、奈落獣のクラブ『ヴァンパイア』の一室で、リンカとフラウは装備の手入れをしていた。
リンカはバンダナをしたためた美女で、フラウはやや生意気そうな顔立ちだがこちらも美少女といって良い容姿の持主だ。アルマらも持っていた独特の『雰囲気』と、手入れをしている装備の物騒さを別にすれば、誰も彼女らを『ヴォイド』の一員で、盗賊の専門家とは思わないだろう。
「失礼しまっす!」
そこへ、アルマが飛び込んできた。
二人は全く動じることもなく、視線すらよこさずに装備の手入れを続けている。
「ちょっとお、アンタ、ノックくらいしなさいよね」
「そ、それどころじゃないっすよ! アニキが―」
「ジェイドが何の用だ?」
「いや、ジェイドのアニキじゃなくって―」
「ジャックのアニキだよ」
その『声』に、二人はハッとして開け放たれたままのドアへ視線をやった。
「オッス」
「ジャック!」
「あんた……」
懐かしい顔だった。背は伸び、髪も肩に触れるほどに伸ばしているが、あの生意気でどこか愛嬌のある顔の少年が確かにそこにいた。
「アルマ、オルトロス……さんに俺が来たって伝えてくれないか? 後で顔出すからさ」
「了解っす!」
喜び勇んで走り出すアルマを見送って、ジャックは二人へ向き直る。
「久しぶり」
「どこ行ってたのさ、いきなりいなくなって!」
フラウはジャックの傍へ駆け寄ると、元気よく背中を叩いた。
「ん、ま、色々あってさ」
「一言くらい、声をかけてから行け」
リンカの言い方はぶっきらぼうであったが、声色は柔らかかった。
「悪い悪い、そうそう、忘れないうちに、これ」
そう言って、ジャックは袋を二人へ渡した。
「隊長から、少ないけど」
「ガンツ?」
「? 元気でやってるのか?」
リンカの声が大きくなった。
「うん、つっても、会ったのはもう結構前になっちゃうけど……二人に、世話になった礼だって」
「自分で渡せばいいのに、コテツも会いたがってるよ」
「……団長、まだ決心がつかないらしくてさ」
「あ……」
フラウもリンカも察せざるを得なかった。ガンツが騎士から『ヴォイド』に身を落としたきっかけと、そこから連なる大戦争への軌跡。そして、彼の父『花翁林』ガウェインとジャックとの因縁、そしてリドリーのこと。
彼らの口から、そして市井の噂や城の情報を漁る中で、大まかな流れは理解できていた。
「ま、でもさ、きっとまた帰るって言ってたよ。リンカとコテツに会いたいって」
「そうか……」
「ちょっとちょっと、あたしは?」
「えっと……それなり?」
「な
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