青い炎
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……
「っ!?しまった!」
エネルギー残量が遂に5分の1を割ったとき、遂に一夏の集中力も切れた。
……それは同時に、この戦いの幕引きも意味する。
「があああぁぁぁ……!」
翠の閃光が一気に襲いかかり、一夏は地面に叩きつけられた。
『一夏!!』
思わず叫び声をあげる箒。闘技場は土煙に包まれ、彼の無事は確認出来ない。しかし、
「上がって来なさい、織斑一夏。貴方は私を倒すために来たのでしょう……ならば、せめて追い縋ってみなさい」
セシリアは、何らかの確信を持って告げる。一夏は未だ、終わっていない、と。その手には、一切の油断無く銃が構えられていた。
直後、
「うおおおおおああああ!!」
土煙から一夏が雄叫びをあげながら飛び出してきた。
「来ましたわね!!」
荒々しく笑うと、セシリアはブルー・ティアーズからレーザーを打ち出した。しかし、
「はああああ!!」
実体化させた刀を掴むと、一夏は其を一凪ぎした。それだけで、迫り来る光の奔流は全て凪ぎ払われた。
「……漸く面白くなって来ましたわね」
「……全然驚いてくれないんだな」
切嗣の作戦、それは一次移行に全てをかける、それだけだった。恐らく、セシリアも気付いていたのだろう、一夏の考えに。若しそうでないなら、彼女は最初から本気で一夏を潰しにかかっていた。あえて一夏の考えに乗るということは、お互い本気で戦いたかったのか、一夏の努力を不意にしたくなかったのか、はたまたその両方なのか。いづれにせよ、セシリアは一夏のあり方を認めていた。だから、
「全力で行きますわよ、一夏さん」
これが、一夏に対する彼女なりの答えなのだろう。
「行くぞ……セシリア!!」
そう叫ぶと、一夏は雪片弐型を構え、
「行くぞ、白式」
単一仕様能力、零洛白夜を発動させた。
対するセシリアも、ブルー・ティアーズを自身の横に待機させ、一夏を迎え打つ。
……………………
空白の3秒間、この場に居合わせた者全てが悟る。これで全てが決まる、と。
そして、
「うおおおおああああ!!」
「ブルー・ティアーズ!!」
二人の叫び声が重なる。一夏は、致命的と成り得る攻撃だけを切り裂き、セシリアに向かっていった。
30m、もう少しだ。
20m、後ほんの少しだ。
10m、いける!!
刀を振り上げ、目の前の敵に降り下ろす。先までの戦闘で、セシリアはブルー・ティアーズを使用している間は動けないことは確認済み。もう銃の間合いではなく、刀の間合い。
「はあ!!」
そして、刀を降り下ろす。
この瞬間、一夏は自身の勝利を確信していた。いや、この試合を見ていた誰もが。だからこそ、誰もが理解できなかった。
ビームが曲がったという事実を。地面に崩れ堕ちていく一夏の姿を……
「嘘、だろ……」
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