第二章
[8]前話
「そうですね」
「はい、本当に」
「それで、ですね」
「今からこの虎をです」
「どうするかですね」
「爆竹で目を覚まさせて」
そうしてというのだ。
「もう安全な場所に避難させるルートは作っていますので」
「そこに誘導してですね」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
「家を出てもらいます」
「それでは」
「はい、今から」
こう話して実際にだった。
実際に団体のスタッフ達は用心しつつ。
爆竹を鳴らして虎を起こして虎の生態系を理解した的確な動きで彼を誘導してそうして安全な場所まで送った、その後で。
家の主のモティラル=ラオ中年の痩せた髭を生やし褐色の肌の男がナゴロフスキーに話した。
「仕事から帰ってきたらです」
「虎がベッドにいたんですね」
「それで驚いてまずは家を出て」
そうしてというのだ。
「地元の動物保護団体に連絡してです」
「虎を逃がしてもらったんですね」
「野生の虎は最近数が減ってますね」
「どの地域でも絶滅が心配されています」
ナゴロフスキーはこのことを真剣な顔で話した。
「残念なことに」
「ですから退治でははなく」
「避難をですね」
「頼みました」
「それはいいことです、確かに家の中に虎がいると怖いですが」
このことは事実だが、というのだ。
「それでもです」
「命ですね」
「人間と同じ、ましてや絶滅が心配されているなら」
「尚更ですね」
「保護が必要です」
「では私がしたことは正しいですね」
「賢明な判断です」
まさにというのだ。
「有り難うございます」
「それは何よりです」
モティラルも笑顔で応えた、そうしてだった。
彼は自分の判断が正しかったことに喜んだ、ナゴロフスキーはこうしたことも経験しつつ研修を続けロシアに戻った。そのうえでこの話をロシアにも伝え虎のことそしてその保護の大切さを人々に話していった。
避難してきた虎 完
2022・1・27
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