暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ミンスクへ
我が妹よ その4
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を膝の上に立掛ける
「無論、従来通りの党が決めて軍が動く、単線型の組織運営では問題が多いのも事実。
先ずは手始めとして政治将校の権限縮小を考えている」
暫しの間、沈黙が訪れる
一人の男が口を開いた
「国連のオルタネイティヴ3計画が中止になったのは知っておろう。
今回の作戦とやらは、其れの実証実験だった線は無いのかね」
彼は、その男の方を向いた
新任された外相だ
外務省で、国連の折衝(せっしょう)に当たる部署にいた20年近く人物である
「いえ、私にはその様な推論(すいろん)は申せませんが……
唯、予定にはない、第43戦術機機甲師団が組織され、近々ホメリ(白ロシアの都市)に配備されると聞き及んでおります」
再び、書類挟みの男が彼に声を掛ける
「詰り、連中は我々を生贄(いけにえ)にして実験するつもりという事かね」
男は、顎を右手に置いて考え込む
そして顔を上げる
「そこで君に頼みたい。
君は独立派の主要人物と看做されている。
危険を承知で、CIAの工作員と接触して欲しい」
彼は姿勢を崩して、前のめりになる
「お尋ねしますが、党の見解としてでしょうか……
私も簡単に、その様な危険な橋は渡れませぬ故」
「今更党の見解などという必要もあるまい」
例の男は、彼に向かって言い放った
「ぶちまけて言えば、この国を守る為の方便さ。
社会主義なぞ真面目に信じてる幹部がどれほど居るかね」
特権階級(ノーメンクラツーラ)にとって、保身を最重視する事を改めて認識させられた
「どうにかして、この国と体制を軟着陸させたい。
米国は自由民主の国とは(うそぶ)くが、状況次第では独裁制も認める。
自国内の根深い民族問題すら解決出来ぬ国が、自由だの平等をいうのは可笑しくないかね」
彼は、男の融通無碍(ゆうずうむげ)な態度に驚愕する
「俺等は、暫定政権(ざんていせいけん)にしか過ぎない。
ある程度道筋を示したら、表舞台から去る。
だから道筋をつけるまでには利用出来る物は利用する。
何でもすると言う事だよ」
唖然(あぜん)とする彼を差し置いて、話を続けた
「実はな、ハイヴの情報は、昨晩遅く持ち込まれたのだよ。
USTR(米国通商代表部)の人間が、食料購入の件と一緒に開示したのさ」
右端の男が同意する
「驚きましたな」
「俺もだよ。
詰り、ミンスクハイヴに然程(さほど)入れ込む必要が無くなったと言う事さ。
だから君はKGBに気にしないで、遣りたいことをやって呉れれば良い」
眼前の男は(ほう)けた侭である
「(ソ連に追従する)幇間(ほうかん)の真似をする必要はないってことさ。
もっとも君の態度も、中々の《男芸者(おとこげいしゃ)》だがな」
男達は、一斉に笑い出した
笑い声に我に返ると、彼は自分の立場を改めて思
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